研究課題/領域番号 |
13J11059
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
矢野 真葵 京都大学, エネルギー科学研究科, 特別研究員DC1
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キーワード | グラフェンナノリボン / ボトムアップ / 化学気相成長法 / 走査型電子顕微鏡 |
研究概要 |
本研究課題は、グラフェンナノリボン(GNR)へのヘテロ原子導入によるp型、n型GNRのボトムアップ合成、および太陽電池としての応用を最終目的としている。今年度はヘテロ原子を含まない新規原料低分子の合成と新しいボトムアップ手法として、2-zoneラジカル重合型化学気相成長法の開発に携わった。 GNRは幅が数ナノメートル以下の縮環導電性高分子であり、その特異的な高移動度を示す性質により太陽電池やトランジスタなどの高性能デバイスへの応用が期待されている。GNRのバンドギャップはその幅とエッジの形状に依存するため、幅とそのエッジの均一性を制御できるボトムアップ型の手法によるGNRの作製を行う必要がある。しかしボトムアップGNRの合成例は超高真空環境における蒸着重合法など少数の報告例はあるものの、未だに大量合成の有効な手法の確立には至っていない。 所属研究室では、従来の合成法にはない低真空下(1 Torr)で、かつ大量合成可能な新規ボトムアップ的GNR合成法(2-zoneラジカル重合型化学気相成長法)を開発した。本手法を用い、幅の異なるGNRを目指し、各原料低分子(ジブロモペリレン、ジブロモビスアントラセン、ビス(グロモフェニル)テトラフェニルトリフェニレン)の設計・合成を行った。合成した原料低分子により幅の異なる3種類(テトラセン幅(3p)、アントラセン幅(3p+1)、ナフタレン幅(3p+2) p : 整数)の極細線GNRの合成に成功した。合成したGNRは走査型トンネル顕微鏡を用いた幅や長さの表面観察、可視吸収スペクトル、及びラマンスペクトルにより構造の同定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請書に記載した原料低分子を合成しグラフェンナノリボン(GNR)化を目指したが、重合が低分子量でとどまり、長鎖化しなかった。そのため、申請書に記入した原料低分子の分子設計を見直し、幅の異なる新規GNRを目指した各原料低分子の設計・合成を行った。合成した原料低分子により幅の異なる3種類(テトラセン幅(3p)、アントラセン幅(3p+1)、ナフタレン幅(3p+2) p : 整数)の極細線GNRの合成に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策として申請書に記載した長鎖化しなかった原料低分子を見直し、改善が見込まれる類似原料低分子の合成を進めている。類似原料低分子の合成により、珀請書に記載した内容の実現が見込まれる。
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