研究課題
本研究の目的は、ヌクレオチド除去修復機構(NER)が欠損したコケイン症候群(CS)や色素性乾皮症(XP)、紫外線高感受性症候群(UV^SS)等の新規疾患責任遺伝子を同定し、その分子機能を解析する事である。これにより、ゲノム安定化システムの詳細像理解、さらには、その破綻による発がんや老化の分子メカニズムを明らかにしたい。新規NER因子を同定するため、既知の原因遺伝子に変異を持たないNER欠損性疾患患者のゲノムサンプルを用いてエキソームシークエンシングを行う事とした。まず、エキソームを実施するための様々な実験条件・データ解析方法の検討を行った。最初に、遺伝子定義情報と各社のエキソームデザインについて調査し、我々のサンプルに最適な条件を検討した。次に、より少ない増幅サイクルでバイアスを抑え、GC-richな領域をよりカバーでき、標的を均一なカバー率で塩基解読するための実験条件を決定した。さらに、エキソームデータから疾患症例特有の変異を抽出するための最適なソフトウェアの選択、パラメーター条件の最適化、パイプラインの構築を行った。アノテーション後に必要となる情報処理に関しては独自にRubyスクリプトを作成した。また、開発・公開されているアノテーションソフトを調査し、最も我々の目的に適したソフトを選定した。最後に、偽陽性・偽陰性の問題を解消するため、実際のエキソームデータを用いて、異なる深度における各種変異と既知のバリアントデータベース(dbSNPl37)との一致率を評価するスクリプトを作成し、最適な評価基準の設定を試みた。本研究に伴い蓄積したこれらのエキソームシークエンシングに関わる技術と知識は、更なる改良を加える事で、より有益なものとなり、今後のゲノム研究の発展に多いに貢献すると期待される。
2: おおむね順調に進展している
この一年間で行ったエキソームシークエンシングに関する解析技術の改良と種々の蓄積データは、今後の症例解析へ貢献すると期待される。
本研究課題は25年度で終了する。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
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