小さな蛍光蛋白として検討を行ってきたGFPファミリーの半分程度の大きさのタグの中で、PhiLOVの改良型(PhiLOV2.1)に対して、徹底的な飽和変異を行うことで、一アミノ酸変異によって一分子輝度と光耐性も大幅に改善できると思える箇所を見いだした。現在、その確認を行っている。ただ、この変異体では小胞体内において不必要な修飾を受けるので、これを排除できるよう、周辺領域の改変を行っているところである。得られた蛍光特性の改良が、実際にinertな分泌系の蛍光タグとして機能するかはさらに研究が必要である。 また、蛍光イメージングの幅を広げるために、各種蛍光蛋白を分泌系で正しく挙動するように改変を行っており、こちらのほうは、可視光領域での蛍光タンパクについては、輝度を落とすこと無く、分泌系環境に適した形に予定通りに改変できた。赤外領域の蛍光特性を持つビリベルジンを蛍光基とする一連の蛍光タンパクについては、蛍光基においてCysを含み、周辺アミノ酸も含めて飽和変異を行ったものの輝度を保持することはできず、改変は困難と判断された。 光変換タンパク質についても3種類について改良を行い優れた特性の分子が得られているが、その過程において、光変換の性質を利用して、FLIM-FRET(蛍光寿命ー蛍光共鳴エネルギー転移)によって、分子の単量体―2量体変換の検出にも、おそらく成功している。これはさらに確認が必要だが、分子のダイナミクスに依存しない形での解析が可能で、信号伝達解析などにおける応用が期待できる。
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