研究課題
ヒトES細胞およびiPS細胞はさまざまな細胞に分化可能であるため、再生医療への応用が期待されている。ヒトES細胞およびiPS細胞におけるエネルギー代謝は、おもにグルコースの代謝に依存することが知られているが、アミノ酸の役割に関する報告は少ない。我々は、ヒトES細胞およびiPS細胞におけるアミノ酸の代謝を解析することにより、グルタミンが重要な役割を担うことを明らかにした。ヒトES細胞およびiPS細胞をグルコースおよびグルタミンを除去した条件において培養した場合、グルコースのみを除去した場合に比べ、ATPが短時間で著明に低下しすみやかに死滅した。また、トランスクリプトーム解析およびメタボローム解析により、ヒトES細胞およびiPS細胞はピルビン酸ではなくグルタミンを効率よく利用してATPを合成していることがわかった。その原因として、ヒトES細胞およびiPS細胞において、アコニターゼ2およびイソクエン酸脱水素酵素2/3の発現が著明に低下していること、ATPクエン酸リアーゼが著明に上昇していることが示唆された。一方、心筋細胞は乳酸を効率よく利用することにより生存が可能であることがわかった。この代謝の特性を利用することにより、ヒトES細胞およびiPS細胞を分化した際に混入する未分化幹細胞を完全に除去した安全性の高い心筋細胞を作製することが可能となり、今後の再生医療の実現に貢献することが期待される。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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