研究課題
1. 新規DNAチェックポイント因子の探索DNAダメージを処理した植物体と処理しない植物体からタンパクを抽出し、SOG1をタグ抗体で共免疫沈降後、MASS解析することによって、DNAダメージ依存的にSOG1と結合しているタンパク質を明らかにした。その結果、70種類以上のタンパク質が同定され、その中でも複数回の実験によって同定されてきたProhibitinに注目した。植物のProhibitinがSOG1と相互作用してDNAチェックポイントに関与している可能性について現在検討している。2. SOG1リン酸化サイトの同定SOG1の5つのSQモチーフのそれぞれ1カ所ずつ、あるいは3/5カ所(350A & 356A & 372A)、または2/5カ所(430A & 436A)をAQに変異させたSOG1タンパクを精製し、ヒトATMを用いてin vitroキナーゼアッセイを行った。その結果、すべての変異型SOG1においてリン酸化シグナルが検出された。この結果からSOG1のSQモチーフの複数箇所がヒトATMによってリン酸化されていると考えられた。この結果はEMBO Report (2013) Vol. 14で発表している。現在は5カ所のSQのうち1カ所だけをSQのまま残し、残りをAQに変異させたSOG1の精製と、そのコンストラクトを持った植物体を作製して、DNAダメージに応答したSOG1のリン酸化部位の同定とその意義の解明についての解析を行っている。3. SOG1が直接制御しているターゲット遺伝子の同定ChIP-PCR解析によって、DNAダメージ依存的にSOG1と直接結合しているDNAを解析したところ、細胞周期を負に制御するCDK阻害因子SMR5と7のプロモーター配列が同定された。よってSOG1はこれらの遺伝子の制御を直接行っていると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、SOG1と相互作用している可能性のある因子の解析や、SOG1のリン酸化部位の同定などが順調に進んでおり、得られた結果からさらに研究が発展する事が期待される。SOG1のリン酸化部位の同定に関する結果の一部や、SOG1のターゲット遺伝子の同定に関する結果は2報の論文で発表されており、さらに植物と動物のDNA損傷応答の比較について述べた総説も1報発表している。
今後はSOG1とDNAダメージ依存的に結合する因子の他に、通常の状態でSOG1と結合しているが、DNAダメージに応答してSOG1から解離する因子にも注目して解析を行う予定である。また、SOG1のリン酸化部位が同定出来れば、それらの部位のリン酸化がシグナルを下流に伝える際にどのように機能しているのか、細胞死や細胞周期の停止を誘導する際にリン酸化される部位は異なるのかといった点についても明らかにする予定である。さらに今後は、SOG1が植物の進化の過程のどの時点で獲得ざれたのかを明らかにするために、SOG1の進化的な解析も行う予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
Plant Cell
巻: 26 ページ: 296-309
10.1105/tpc.113.118943
EMBO Reports
巻: 14 ページ: 817-822
10.1038/embor.2013.112
Biology
巻: 2 ページ: 1338-1356
10.3390/biology2041338
http://www.kyoto-su.ac.jp/~seisuke/index-j.html/yan_jiu_nei_rong.html