特別研究員任期最終年度は半年のみの研究期間であったが、概ね前年度までと同様のペースで研究を進めた。本研究課題と内容が深く関わるミサワホームフューチャーセンターとの共同研究プロジェクトでは月に一度研究ミーティングの機会を持ち、家庭内の録画データに関し、エスノメソドロジー的観点からの観察と議論を重ねた。 研究成果発表は4月に発達心理学会にて自主シンポジウムに参加し、昭和堂『子育ての会話分析:おとなと子どもの責任はどう育つか』の第二章として出版した行為指示に関する研究論文についての発表を行い、質疑応答や総合討論で議論を行った。子ども養育者相互行為における「~てあげる」構文についてはさらに構文文法およびフレーム意味論の枠組みから考察を行い、2017年7月の国際語用論学会にて発表する予定である(採択済)。また、同月には国際エスノメソドロジー・会話分析学会にて、ミサワホームとの共同研究プロジェクトから、家庭内における片付けにまつわる相互行為およびそこに見られる規範の形成について共同発表を行うことが決定している。 また、家庭内相互行為における指さし(ポインティング)について研究を新たに開始した。会話分析の手法を用いたポインティング研究として書籍出版の計画があり、寄稿することが決まっている。そのほかには、フィラーとして用いられる疑問文由来の定型表現に関し、日常会話・英語学習者・家庭内相互行為における傾向の違いについて分析を開始しており、今後発展させていく予定である。
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