研究課題
1. 耐旱性NERICAを用いた根系形質の同定と環境との相互作用NERICA1とNERICA4の根系発育ならびに地上部生育を改良根箱・ピンボード法を用いた土耕条件で定量的に評価した。その結果、NERICAIとNERICA4とでは、窒素施肥量に対する反応は異なり、NERICA1は高窒素区で地上部生育、根系発育が最も優れていたのに対し、NERICA4は標準区における生育が最も優れていた。このことから、NERICA1とNERICA4には、それぞれ異なる最適窒素施肥量が存在することが示唆された。2. 根系が発揮する可塑性の機能解析および関連遺伝子座の同定根系の呼吸速度を測定するため、赤外線ガスアナライザー(Li-840A)を用いた閉鎖系動的チャンバーシステムについて検討した。水耕条件で成育させた幼植物を用い、根系の呼吸速度を評価した結果、根呼吸速度は、品種/系統間、および処理間(対照区、乾燥ストレス区)で大きな差は見られなかった。さらに、KDML105に日本晴を戻し交雑して作成した染色体断片導入系統群を用い、圃場と土耕系で根系発育に関わる可塑性形質を評価した。その結果、土壌水分変動条件に対して根系の可塑性を発揮し乾物生産が優れる系統を選抜した。3. フィリピン国内におけるイネ耐旱性形質と環境との相互作用評価フィリピンイネ研究所(PhilRice)内の実験圃場にて、2014年1月より乾季作栽培評価試験を実施した。フィールドの土壌における水分・養分や土壌硬度の空間的分布、時間的変化を観測し、土壌環境ストレスの実態を解明するためデータを整理している。イネを収穫後収量や根系形質について解析を進めていく。
2: おおむね順調に進展している
耐旱性品種/系統の形質同定とその機能解析ならびに耐旱性形質と環境要因との相互作用について、順調に目的を達成できている。
根呼吸測定について、生育ステージの異なる植物体を対象に評価する必要がある。また、土耕条件下における根系の可塑性発揮と根呼吸との関係について評価し、根系の可塑性発揮におけるメカニズムを解析する。
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Plant and Soil.
巻: 378 ページ: 139-152
10.1007/s11104-013-2013-5
http://iccae.agr.nagoya-u.ac.jp/index.html