研究課題/領域番号 |
13J40129
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
小田(山溝) 千尋 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 花き研究所 花き研究領域, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | カロテノイド / 転写因子 / yeast one-hybrid / 花色 |
研究実績の概要 |
花の色は豊富にあるように思うが、それぞれの品目についてみると色の幅は限られている。アサガオやペチュニア、シロイヌナズナは、鮮やかな黄花が存在しない代表的な花きである。鮮やかな黄色の花色発現は、主にカロテノイドが担っている。カロテノイドは多くのステップを経て生合成されるが、その制御機構はほとんど明らかになっていない。機能性成分としても注目されているカロテノイドの生合成制御機構を明らかにし、植物体におけるカロテノイド量を制御することが出来れば、農業上重要な形質を獲得でき、応用展開が期待できる。 昨年度の半年間でスクリーニングが完了した7遺伝子について、さらなる解析を進めるべく、in planta結合検定を行うためのコンストラクトを作製した。また、複数の遺伝子に共通して結合する転写因子を得ることが出来た。これは、カロテノイド量制御の鍵となる可能性があるので、変異体の種子を共同研究先から申請、入手した。今後、ホモ個体の選抜、採種を行う。また、昨年度に転写因子が得られなかった遺伝子について、様々なbaitコンストラクトを作製し、スクリーニングを行った結果、転写因子候補を得ることが出来た。今後、さらに解析を進める予定である。 花のつぼみは少量ながらクロロフィルやカロテノイドを蓄積している。花弁の成長、開花に伴ってそれらは分解され、それぞれの花弁の色へと変換される。つぼみに蓄積しているカロテノイドは葉タイプで、クロロプラストに存在している。このつぼみの黄緑色を開花時まで維持することが出来れば、これまでにない新花色花きの創出につながると考えた。そこで、今年度はクロロフィル分解関連遺伝子に着目し、11遺伝子のbaitコンストラクトを作製し、順次スクリーニングを進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度、転写因子候補が得られなかった遺伝子についても、様々な検討を重ね、その候補を得ることに成功した。また、つぼみの段階のクロロプラストタイプのカロテノイドにも着目し、クロロフィル分解関連遺伝子の発現を制御する転写因子の探索まで興味を広げることが出来たのは、当初の計画以上である。
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今後の研究の推進方策 |
得られた転写因子の候補について、順次、変異体の種子を申請、入手し、ホモ個体の選抜や採種を行う。変異体と同時に表現型を評価するため、過剰発現体のコンストラクトを作製し、シロイヌナズナの形質転換を行う。また、シロイヌナズナの変異体や過剰発現体の表現型評価で有力な転写因子が得られた場合、ペチュニアなど他の花き品目に導入し、新花色花きの創出を目指す。 推定シス配列領域を絞り込むため、様々な長さのプロモーターデリーションコンストラクトを作製し、酵母内での結合検定およびin plantaでの結合検定を行う。
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