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2014 年度 実績報告書

自閉症と小児知的障害の病態メカニズムの包括的解析

研究課題

研究課題/領域番号 13J40147
研究機関愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所

研究代表者

浜田 奈々子  愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 神経制御学部, 特別研究員(RPD)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード神経細胞移動障害 / 軸索伸長抑制
研究実績の概要

本年度は、マリネスコシェーグレン症候群の新規の原因遺伝子候補として、我々のグループが見出したHSPBP1(未発表)について、SIL1と同様の解析を行った。HSPBP1は細胞質に局在するSIL1の相同分子である。3種類のマウスHSPBP1のRNAiベクターを作成し、COS細胞に遺伝子導入し、HSPBP1タンパクの発現が抑制されていることを確認した。さらに今年度は、自閉症関連遺伝子LIN-7Aの大脳皮質形成過程における役割について解析を行った。自治医大で自閉症患者からLIN-7Bを含む遺伝子領域の重複、また別の自閉症患者からはLIN-7Bのフレームシフト変異が見出された。LIN7はこれまでにADHDや発育遅延患者でも異常が報告されている分子である。LIN7は中枢神経系において細胞膜の安定化や活性調節、細胞増殖、分化に関与していることが分かっている。子宮内胎仔脳遺伝子導入法(in utero electroporation)を用いてLIN-7Bの大脳皮質形成における機能解析を行った。胎生期14. 5日のマウス胎仔脳にLIN-7B RNAiベクターを導入し、LIN-7Bの発現抑制を行ったところ、神経細胞移動が障害され、さらに反対側の皮質へ投射するアクソンの伸長が著しく抑制された。これらの障害はRNAiレジスタントのヒトLIN7Bを導入することで解消されたが、患者から同定されたフレームシフト変異体では解消されなかった。このことからLIN7Bは大脳皮質神経細胞の移動、軸索伸長に関与し、変異LIN7Bではその機能が保持されないことが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初、HSPBP1,septin等の自閉症関連遺伝子のRNAiベクターを本年度中に作成し、ベクターの評価を動物実験も含め、行う予定であった。しかしベクターの構築が予定通りに進行せず、動物実験が遅れた。しかしながら、別の自閉症関連遺伝子LIN-7Bの解析が予想以上に順調に進み、論文にまとめることが出来た。

今後の研究の推進方策

遅れているRNAiiベクターの評価を動物を用いて行う。この分子が大脳皮質神経細胞移動に関与しているならば、その後の研究が展開できる。また、名古屋市立大学で知的障害患者から見出されたGαi2遺伝子の新規de novo変異に着目し、Gαi2が大脳皮質形成過程にどのような役割を担っているのか、解析を行う。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Role of an adaptor protein Lin-7B in brain development: possible involvement in autism spectrum disorders.2015

    • 著者名/発表者名
      Makoto Mizuno, Ayumi Matsumoto, Nanako Hamada, Hidenori Ito, Akihiko Miyauchi, Eriko F. Jimbo, Mariko Y. Momoi, Hidenori Tabata, Takanori Yamagata and Koh-ichi Nagata
    • 雑誌名

      J. Neurochemistry

      巻: 132 ページ: 61-69

    • DOI

      10.1111

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 自閉症・知的障害原因遺伝子A2BP1の大脳皮質形成における機能解析2014

    • 著者名/発表者名
      浜田奈々子、伊東秀記、田畑秀典、永田浩一
    • 学会等名
      日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
  • [学会発表] Autism risk gene, A2BP1 plays an essential role in cortical development2014

    • 著者名/発表者名
      浜田奈々子、田畑秀典、伊東秀記、永田浩一
    • 学会等名
      日本神経科学会大会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-09-11 – 2014-09-13
  • [学会発表] SIL1, a causative cochaperone gene of Marinesco-Sjögren syndrome, plays an essential role in establishing the architecture of the developing cerebral cortex.2014

    • 著者名/発表者名
      浜田奈々子、稲熊裕、田畑秀典、西村嘉明、伊東秀記、水野誠、大野欽司、永田浩一
    • 学会等名
      中部支部例会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2014-05-24
  • [備考] 発達障害研究所神経制御学部

    • URL

      http://www.inst-hsc.jp/d-molecular/index.html

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公開日: 2016-12-27  

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