本研究はツキノワグマの人里への出没危険時期を予測し(第1部)、その結果を効果的に市民に普及するプログラムの開発を行うこと(第2部)を目的としました。研究成果の具体的なアウトプットの方法や実施計画を予め研究計画に含むことで、クマ出没に対する有効な対策の提案や注意喚起を行うことまでをゴールとしました。 平成27年度は、「出没時期の予測」(第1部)のために、野生ツキノワグマの行動追跡を引き続き実施し、その成果をまとめた論文を国際誌へ投稿しました。研究成果の普及プログラムの開発(第2部)については、効果的な普及プログラムとするために「行政が実施する保護管理施策・事業の現状と課題の整理」を行い、この結果をまとめたレビュー論文を3報発表しました。 当初は第1部の行動研究の成果をまとめる「出没(危険時期)カレンダー」に、さらに第2部でまとめたレビュー論文の情報(行政が行う具体的な保護管理施策等)を掲載したものを用いて、平成28年度に本格的な普及活動を実施する計画でした。しかし、採用期間を残して特別研究員を辞退することとなったため、本格的な普及活動の実施には至りませんでした。しかしながら、本研究の成果を用いて、クマ類の出没や被害対策普及のための活動を今後も実践していきます。
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