研究課題
特別推進研究
自ら光を放たない天体を検出できる唯一の手法は重力レンズ効果を利用することである。本科学研究費の目的は、銀河に存在する暗天体と太陽系外地球型惑星を、大型望遠鏡を製作して重力レンズ効果法で検出することにある。本研究を実施するため、平成15年度には、口径1.8mの大型望遠鏡、直径8mの格納ドーム、並びに8000万画素を有する大面積CCDカメラを日本で製作した。そして平成16年度にはそれらをNZ・マウントジョン天文台に設置した。そして平成17年3月1日にはファーストライトを迎えた。この準備期間中にも、旧来の口径60cmのB&C望遠鏡を使用して観測を続けた。その結果、重力レンズ効果法で初めて太陽系外惑星の検出に成功した(平成15年7月)。発見された太陽系外惑星は、地球から5.2kpc離れた銀河中心方向にあり、質量は木星の1.5倍で、主星から3AU離れた距離を周遊していた。さらに平成17年8月9日には新望遠鏡を使用して地球の5.5倍という、今まで観測された惑星の中で最も軽い惑星を発見するという快挙をなした。この発見は地球のような小型惑星を含む"第2太陽系"が我々の銀河内に存在することを意味している。新望遠鏡は2.2平方度の広い天空を一度に観測できる性能を有しているため、毎晩銀河中心部の50平方度の広領域を一時間毎に繰り返し測定できる。その結果、平成18年度に入り、今まで誰も観測していなかった増光時間が一日以下の短い時間重力レンズ効果で増光した現象を4例観測した。現在解析中である。我々は毎晩銀河中心部と大マゼラン雲の星をそれぞれ1億個観測している。この星の数は今まで定常観測された星の数の10倍であり、これらの大量のデータでもって銀河のダークマター候補としてのマッチョの存在や、太陽系と類似の惑星系の存在について結論が得られるだろう。
すべて 2006 2005 2004 2003
すべて 雑誌論文 (13件) 図書 (1件)
Nature 439
ページ: 437-440
Nature Volume 439, Issue 7075
The Astrophysical Journal 628
ページ: L109-L112
日本物理学会誌 60
ページ: 943-948
The Astrophysical Journal Volume 628, Issue 2
BUTSURI Volume 60, No.12
Kaisei Shuppan
ページ: 313
Mon. Not. R. Astron. Soc. 348
ページ: 1120-1134
The Astrophysical Journal 606
ページ: L155-L158
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society Volume 348, Issue4
The Astrophysical Journal Volume 606,Issue2
The Astrophysical Journal 227
ページ: 204-227
The Astrophysical Journal Volume227, Issue 1