本研究の目的は、DNAチップ等の既存のバイオチップ部分を超小型化、超高密度化することである。そのため、蛍光プローブを利用した既存の手法とは異なる手法であるナノ領域に局在化した表面プラズモンを利用したセンシングプローブを作製して、実際にその検出システムを構築する。この手法は、蛍光等のラベリングなしに対象分子の検出が可能であるため、対象分子を選ばず汎用的な手法である。本研究により以下の知見を得ることができた。 1.高い効率で局在化した表面プラズモン共鳴を起こす表面としてナノメートル構造を持つAu表面を構築する手法の開発を行った。具体的な方法として、蒸着薄膜のラフネスを大きくする方法、および、基板表面にエッチングなどによる凹凸を作製して、良好な表面プラズモン共鳴表面を作製する方法を見出した。 2.各々の直径が10μm〜100μmのセンシングドットを紫外線フォトリソグラフィーによりシリコンウエハー上に作製する方法を開発した。 3.シリコンウエハー上のセンシングドット表面上に検出対象分子にアフィニティーを持つ分子層を自己組織化法により作製した。そして、検出対象分子を含む試料を暴露した場合にアフィニティーを反射率変化として光学的に検出するシステムの開発を行った。このシステムはCCDカメラを用いてアレイ全体を画像として捕らえるため、既存の手法に比べて高スループットな検出を行うことができる。また、得られたデータは並列的に処理できるソフトウエアの開発を行った。
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