研究代表者は、これまで生殖細胞における'翻訳されるレトロポゾン化したイントロンレス遺伝子'に着目して研究を展開してきた。このような遺伝子について、平成14年度においてはこれまでの研究成果を哺乳類(マウス・ヒト)において発現臓器・発現量などについて体系化し、そのゲノム構造まで含めてまとめ、データベースとして公開した(http://dtbcog.gen-info.osaka-u.ac.jp/)。 生殖細胞は世代を超え、あるいは太古の地球においては生物種を超えて生物進化と共に受け継がれてきた細胞である。生殖系列という考えのもとでは、生殖細胞の連続性は基本的には生命の起源にまで遡る。研究代表者は、これまでレトロポゾン化によるゲノムへの新規遺伝子の付加が生物の進化にどのような影響を与えてきたのかを探ることを目的として哺乳類→鳥類→両生類→魚類…と他生物種において進化を遡るようにこれら遺伝子のorthlogous geneの存在を探索してきた。平成14年度は東北大学臨海実験所の稲葉一男助教授と共同で、解読の終わったホヤゲノムシークエンスにおいて、これまでの解析からその重複時期が古いと推定されるイントロンレス遺伝子に関してorthologous geneの探索を開始し、すでに10個の遺伝子に関してホヤにおいてもイントロンレスであることを確認した。現在もマウス・ヒトにおけるデータベースの充実を図るとともに、ホヤにおけるイントロンレス遺伝子の探索を継続している。
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