研究概要 |
(1)この1年間の大規模な連鎖解析により、修飾遺伝子の原因領域に6つの組み換えマウス系統を検出した。これらを用いた遺伝的地図と物理的地図の作製によりTs修飾遺伝子の存在する責任領域をTs遺伝子自身を含む約120Kbにマップした。さらに、BACクローンを単離して、cDNA選択法やキャンディデートアプローチ法で候補遺伝子を探索した。その結果、mDIC(dynein motor protein), DAC(kinesin-like motor protein),それに機能未知の膜タンパクをコードするTTYH2(Tweety homolog2)の合計3種類の候補遺伝子を見出した。これらの内、TTYH2において、修飾遺伝子によるTs表現型の多型と対応したアミノ酸多型が観察され、有力な候補遺伝子と考えられた。 (2)B6-MSMコンソミック系統を用いた交配実験による修飾遺伝子のマッピングは、現在進行中である。Hx系統の遺伝的背景にKJR系統の遺伝子が導入されることにより、多くのホモ個体で親系統のHxではみられない前肢に限局した表現型が観察された。変異個体では手の骨が秩序だって形成されず、明らかなパターン形成の異常を示した。特に手の先端部に鬱血を伴った細胞死と思われる障害を示すものが多く、アポトーシスの異常が示唆された。これらについて胎児期での四肢形態形成に関与する遺伝子の発現解析を予定している。
|