研究概要 |
パーキンソン病(PD)は多因子遺伝性疾患と考えられ、家族性PDではα-synucleinやparkin遺伝子が発見されたが、患者の大部分を占める孤発性PDでは疾患感受性遺伝子は証明されていない。本研究では、疾患感受性遺伝子を同定すると同時にSNPと各薬剤への反応性、副作用との関連を明らかにしオーダーメイド治療法を確立する、ことを目的とし今年度は以下の結果を得た。 1)約27,000個のマイクロサテライト多型を基盤としたゲノムワイド関連解析を行っている。約27,000個全てのマイクロサテライト多型に関して1次スクリーニングが終了し、各染色体において5-12%のマイクロサテライト多型でp<0.05を認めた。他施設より連鎖領域として既報告である第1染色体上の領域に位置するマーカーは、p=3.9×10^<-6>であり、これらと連鎖不平衡にある遺伝子が孤発性パーキンソン病の発症に関与している可能性がある。 2)数百個の候補遺伝子上SNP(一塩基多型)マーカーを用いた患者・対照関連解析を開始した。まず各群95人を対象とした一次スクリーニングを行った。現在までに、家族性PD,ドーパミン、タンパク質分解などに関連する57個の候補遺伝子上の計115SNPsを解析終了した。その結果、アレル頻度カイ二乗検定でp<0.05のSNPは、UCH-L1、PRKCG、parkin、SYPH1、LMX1Bの5つの遺伝子上にみられた。これらは検体数を増やして二次スクリーニングを行うとともに、さらに多数の遺伝子・SNPを解析していく。 3)これまでにDNAサンプルを約950収集した。また高齢発症のため同胞発症例の収集が困難であるが、専門医にアンケートして約270家系が存在する回答が得られた。うち約60家系を採血した。
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