1.中枢神経細胞のラフト画分の主要タンパク質であるNAP-22の脂質結合について解析し、これがフォスファチジルコリンとコレステロールを含むリポソームの膜中にコレステロールの微小集合領域を形成する機能を持つことを見い出した。この機能部位を同定するためにタンパク質をC端より欠損させた変異体を構築し、N末端の60アミノ酸配列とN末へのミリスチル酸付加が重要であることを同定した。さらにコレステロールと同様に小さな極性基を持つフォスファチジルエタノールアミンも同様に挙動することを見い出した。培養細胞での発現系ではNAP-22の局在とフォスファチジルエタノールアミン、コレステロールの共局在を見い出した。さらにTPAによるC-キナーゼの活性化によりNAP-22がラフトより解離することを観察した。 2.脳由来のラフト構成因子としてサイクリックヌクレオチドファスフォジエステラーゼ2を新たに見い出した。更にクロライドポンプがラフトに局在し、NAP-22を含むラフトと局在を同じくすることを発見した。また神経細胞様の培養細胞よりラフト存在因子としてストマチン2、letm1、KIAA0085等を見い出した。 3.グリア細胞由来のミエリン膜構築因子の内、CNPase、PLP、MOG等のラフト局在を見い出した。 4.ラフト構築因子の相互作用解析にBlue-Native PAGEが有効であることを見い出し、神経細胞、ミエリン膜由来のラフト構築因子の相互作用を解析しつつある。 5.カルシウムシグナルに関わるニューロカルシンやアネキシン6がNAP-22と結合することでラフトに局在することを見い出した。この知見はNAP-22を足場とするカルシウムシグナル機構の存在を示唆している。
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