研究概要 |
1、イオン輸送タンパク質の大量発現プラスミドの作成と大量発現-大腸菌Na^+-セリン共輸送タンパク質SstT及びコレラ菌ATP駆動型多剤排出ポンプVcaMの大量発現プラスミドを構築した。前者についてはこれを基に精製・再構成を行いその性質について解析をおこなった(Kim 2002)。後者については予想ほど大量発現ができておらず、現在プラスミドの再構築を検討している。 2、機能未知膜タンパク質の遺伝子クローニング-10種の新規多剤排出ポンプの遺伝子を黄色ブドウ球菌、緑膿菌、セラチア、セパシアなどからクローニングし解析を行った(Cheng 2003, Lee 2003)。 3、パッチクランプシステムの構築-購入したデータレコーダーを組み合わせ、パッチクランプシステムを立ち上げた。 4、パッチクランプ法による測定-大腸菌Na^+セリン共輸送系であるSstTの輸送活性をパッチクランプ法により測定した。さまざまな条件検討を重ねたが、現在までのところ、有意な輸送活性を捉えることはできていない。この原因として、SstTの発現量がまだ不足している、用いている大腸菌の細胞膜が特に脆弱である、などの理由が挙げられる。上記SstTと共に、大腸菌多剤排出ポンプAcrABの活性をパッチクランプ法によって測定した。これはSstTで有意な活性が得られていない理由の一つが発現量が少ないことであり、AcrABの場合、特別な大量発現プラスミドを構築しなくとも十分量のタンパク質が発現しているからである。こちらも活性は捉えられていないが、条件検討を重ねれば活性を捉えることができると考えられる結果を得ている。
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