研究課題/領域番号 |
14014241
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
林 哲也 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (10173014)
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研究分担者 |
小椋 義俊 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 助手 (40363585)
大岡 唯祐 宮崎大学, 医学部, 助手 (50363594)
戸邉 亨 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70207596)
清水 徹 金沢大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80235655)
飯田 哲也 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (90221746)
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キーワード | 病原性大腸菌 / ウェルシュ菌 / 腸炎ビブリオ / 病原性 / ゲノム多様性 / 発現制御ネットワーク / 二成分制御系 / III型分泌系 |
研究概要 |
本研究の解析対象である病原性大腸菌・ウェルシュ菌・腸炎ビブリオに関して、以下の知見を得た。 【病原性大腸菌】O157およびnon-O157タイプの腸管出血性大腸菌(EHEC)菌株の比較ゲノム解析が終了し、O157のプロファージ領域には遺伝子レベルでも高度な菌株間多様性が存在すること、non-O157EHECにはO157と異なる菌株特異的配列が大量に存在することが明らかとなった。病原性発現制御機構の解析では、RcsCDB二成分制御系による制御と重炭酸塩応答に、O157特異的制御因子GrvAとPchがそれぞれ関与することを見いだし、本菌の病原性発現制御機構が大腸菌共通の環境応答システムに菌株特異的制御因子を組み込むことによって構築されていることを明らかにした。III型分泌系の解析では、通常の嫌気培養条件下では抑制されている分泌活性が電子受容体添加により活性化されること、嫌気呼吸系の発現制御に関わる二成分制御系がこの活性化には必須であり、分泌活性自体を制御することを明らかにした。また、新たな分泌蛋白質(エフェクター)を多数見いだし、これらのエフェクターを含む86種類のO157特異的な分泌・菌体表層蛋白質の抗体作製も終了した。 【ウェルシュ菌】VirR/S二成分制御系あるいはVirR/S-VR-RNA系によって制御される200遺伝子を同定し、本制御システムが病原性だけでなく、エネルギー産生やアミノ酸・糖代謝系遺伝子群の制御にも関与することを明らかにした。このうち、myo-InositolオペロンがVirR/S系によって正に調節されること、機能未知遺伝子の一つ(CPE1368)がVirR/S-VR-RNA系によって負に調節されるDNase遺伝子であることを確認し、さらにVirR結合配列を持つ機能未知遺伝子の解析から、2種類の新規調節RNAを同定した。 【腸炎ビブリオ】全ゲノム配列解析から見出された2つのIII型分泌系(TTSS1,TTSS2)の解析を行い、それぞれが異なるエフェクターを分泌すること、TTSS1がHeLa細胞に対する細胞毒性に関与すること、TTSS2はウサギ結紮腸管ループ試験における液体貯留活性の発現に関与することを明らかにし、各分泌系のエフェクターを3種類ずつ同定した。
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