研究課題
抗体による多種多様な抗原の認識には生物が有する標的分子認識機構が総動員されていると考えられる。抗体の標的分子認識の分子機構を抗体ライブラリーを使って網羅的に解析することで、生物の有する標的分子認識機構のインデックス(データベース)を作成し、それを用いて抗体をプローブとして用いる、機能が未知の遺伝子産物の機能を探索できるストラテジーの開発を行う。また、先に得られた知見を基盤に、任意の遺伝子産物に適用可能な機能制御分子の設計アルゴリズムの開発を行う。"[抗体]-[抗原]データベース"、"[抗体]-[エピトープ]データベース"、"[抗体機能部位]-[エピトープ]データベース"の段階的構築を進めている。"[抗体]-[抗原]データベース"の構築は順調に進んでおり、約40種類の抗原に対する約1,000個の抗体遺伝子の登録を終えている。特筆すべきは、抗原(プロテインキナーゼの一種や細胞内シグナル伝達系の調節因子)の機能を調節する抗体が、当該研究で使用している抗体のスクリーニング法で得られたことであり(投稿準備中)、これは抗体をプロトタイプとして使用するドラッグデザインの第一歩である。抗体による抗原機能の制御の分子機構を明らかにするために、いくつかの抗体-抗原のセットを選択して、エピトープマッピングを開始している。その中で、プロテインキナーゼの機能阻害抗体は、酵素の基質結合部位に直接作用するのではなくて、その活性制御ドメインに作用することで酵素反応を抑制することが解った。他の抗体に関しても同様の解析を進めており、"[抗体]-[エピトープ]データベース"を構築する予定である。"[抗体機能部位]-[エピトープ]データベース"の構築において必須となる、抗体遺伝子からの抗体分子の立体構造モデリングおよび機能部位抽出のために、当該分野の専門家との共同研究を模索中である。
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