研究概要 |
本研究では、立体構造が限られている困難性を克服し、ゲノムワイドに膜タンパク質の立体情報を得、機能情報を抽出する方法論を提示することを目的としたが、特にモデルケースとしてG蛋白質共役型受容体(GPCR)を中心とし、各種ゲノムから判別し、構造,機能の観点から分類して、分類後の代表配列に対する詳細な立体構造モデリング法を確立することを目指した。以下に具体的研究を示す。 1.比較ゲノム:13年度までに完成したGPCR遺伝子予測システムを使い、各種ゲノムのGPCR候補を予測、比較解析した結果、103種の細菌のCompleteゲノム、酵母、線虫、ショウジョウバエについて、GPCR遺伝子をスクリーニングし、多細胞生物から、急激にGPCR候補遺伝子数が増大することを見出した。 2.構造、機能分類:立体構造既知のロドプシンに近いクラスAファミリーの受容体について、膜貫通部分に出現するアミノ酸頻度、細胞内および細胞外ループの長さ分布、結合リガンドの関係性を調べた。その結果、特にGsと結合する受容体は、他の受容体と明確に特性が異なり、判別が可能であることを見出した。 3.膜貫通領域での立体構造予測:ロドプシン、アドレナリン受容体を代表とするクラスAファミリーの受容体について、立体構造既知のロドプシンをテンプレートとして比較モデリングの手法で立体構造を予測する基盤を作った。比較モデリングの際に、膜タンパク質に特化したアラインメント法を開発した。具体的には、膜内環境でヘリックス間の相互作用部分が保存されるよう制限がかかるようなアラインメント法である。
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