研究課題/領域番号 |
14017086
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
程 久美子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 科学技術振興特任教員(常勤形態) (50213327)
|
研究分担者 |
浜田 剛 理化学研究所, 発生・再生研究センター・幹細胞医療応用研究チーム, 研究員 (30291727)
高橋 史峰 東京大学, 大学院・理学系研究科, 科学技術振興特任教員(常勤形態) (80328814)
|
キーワード | 遺伝子 / 神経科学 / 脳 / 神経 / 脳神経疾患 / 発生分化 / 運動ニューロン / 細胞死 |
研究概要 |
今年度の研究の進展:神経細胞は発生の初期に過剰に産生され、分化の過程で約半数が死に至る。このような細胞死は自然細胞死と呼ばれるが、運動ニューロンの発生分化の過程でおこる自然細胞死は、標的(筋)由来の生存因子に依存すると考えられている。このような運動ニューロン自然細胞死に関わる分子、さらには成熟運動ニューロンの生存維持に関わる分子を同定し作用機序を解明していくことは、運動ニューロン病を始めとする種々の神経変性疾患発症機構の解明および治療法の開発に結びつくと考える。 私達は、ニワトリの自然細胞死が起こる胚期の運動ニューロンに対し生存活性を示す物質を骨格筋から分離精製したが、最終的に単離されたものはタンパクではなくRNAであると結論された。そこで、筋よりtotal RNAを抽出してDEAE sephaose fast flow columnにより分画し、活性画分よりcDNAライブラリーを作製した。各クローンの塩基配列を決定して、候補と考えられるcDNA断片を得た。その配列を元に全領域をクローニングした結果、得られた遺伝子は、7SL-RNAのニワトリ相同遺伝子であることがわかった。in situ hybridizationの結果、7SL-RNAはニワトリ胚発生期の神経筋接合形成直後の6日目胚腰部において、骨格筋、脊髄運動ニューロンさらに後根神経節で検出されたが、この時期以前においては、脊髄運動ニューロン・後根神経節でのシグナルは認められ素、骨格筋での特異的発現が認められた。このような局在の特異性は発生が進むに従って消失していった。さらに、ラットにおいても同様の発現パターンがみられた。このことは、運動ニューロン自然細胞死に関わる物質として、タンパクではなくRNAが関与している可能性を示唆するものである。現在、7SL-RNAが骨格菌から運動ニューロンへ学校制に運ばれる可能性、および7SL-RNAによる運動ニューロン生存活性の作用機序を解析している。
|