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2002 年度 実績報告書

運動ニューロン特異的遺伝子過剰発現マウスを用いたALSの実験的治療の研究

研究課題

研究課題/領域番号 14017103
研究機関特殊法人理化学研究所

研究代表者

高橋 良輔  理化学研究所, 運動系神経変性研究チーム, チームリーダー (90216771)

研究分担者 三澤 日出巳  (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 主任研究員 (80219617)
糸原 重美  理化学研究所, 行動遺伝学技術開発チーム, チームリーダー (60252524)
キーワードALS / glutamate / AMPA / GluR2 / SOD1 / トランスジェニックマウス / Calcium / Misfolding
研究概要

AMPA型受容体は通常Ca2+非透過性であるが、GluR2サブユニットを欠損するとCa2+透過性となる。脊髄運動ニューロンではGluR2の発現量が非常に低く、このことが大部分のAMPA受容体がCa2+透過性を示す原因と考えられた。そこで我々は、コリンアセチル基転移酵素のプロモーターを用いて、脊髄中で運動ニューロンに比較的特異的にGluR2を過剰発現するトランスジェニックマウス(GluR2-Tg)を作成した。最も発現量の高いラインでは、脊髄運動ニューロンにおけるGluR2 mRNA量はコントロールマウスに比べて約5倍に増加し、新生マウスの脊髄スライス標本の解析で運動ニューロンのAMPA型受容体の大部分がCa2+非透過性を示した。これらのGluR2-Tgを代表的なALSモデルマウスであるG93A変異型SOD1-Tgと掛け合わせたところ、ダブルトランスジェニックマウスでは、GluR2の発現量と相関して発症が大幅に遅れて寿命が延びることがわかった。また、G93A SOD1-Tgでは発症に伴ってミトコンドリアからのcytochrome Cの放出(apoptosis経路の活性化)や、さらに早い時期からの変異SOD1タンパクの凝集化が認められるが、これらの変化もダブルトランスジェニックでは大幅に遅れていた。この結果は、Ca2+透過性AMPA受容体を介したCa2+流入は、単に過剰興奮死を誘導し得るだけではなく、変異型SOD1タンパクのmisfoldingを脊髄運動ニューロン内で特異的に促進していることを示唆している。様々な神経変性疾患において、原因タンパクの凝集化と細胞毒性との関係が注目されていることを考慮すると、本報告は変異SOD1の発現によって運動ニューロンが特異的に障害される機構を考える上で重要な示唆を与えている。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Araya, R., Takahashi, R.他: "Yeast two-hybrid screening using consttitutive-active caspase-7 as bait in the identification of PA28γ as an effector caspase substrate"Cell Death Differ. 9. 322-328 (2002)

  • [文献書誌] Imai, Y., Takahashi, R.他: "CHIP is associated with Parkin, a gene responsible for familial Parkinson's disease, and enhances its ubiquitin ligase activity"Mol. Cell. 10. 55-67 (2002)

  • [文献書誌] Kobayashi, S., Takahashi, R.他: "Calpain-mediated X-linked inhibitor of apoptosis degradation in neutrophil apoptosis and its impairment in chronic neutrophilic leukemia"J. Biol. Chem.. 277. 33968-33977 (2002)

  • [文献書誌] Urushitani, U., Takahashi, R.他: "Proteasomal inhibition by misfolded mutant superoxide dismutase 1 induces selective motor neuron death in familial amyotrophic lateral sclerosis"J. Neurochem. 83. 1030-1042 (2002)

  • [文献書誌] Takahashi, R., Imai, Y.他: "Parkin and ER stress"Ann. N.Y. Acad. Sci.. (印刷中). (2003)

  • [文献書誌] 高橋良輔: "パーキンの機能"生化学. 74. 471-476 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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