研究概要 |
ネットワーク上に分散したウェブページやXML等の半構造データの急速な増大に対して,これらのコンテンツに直接アクセスするための効率良い手法の開発が緊急の課題となっている.本研究では,大規模半構造データからのデータマイニング(ウェブマイニング)に基づき,大量のデータ解析を対話的に支援する効率的なツールとして,従来の情報検索システムを超えた新しい情報アクセスシステムの開発を目指す. そのための鍵となる技術として,最適パターン発見を木やグラフ構造に拡張して,半構造データに対する頑健かつ高速な最適化パターン発見アルゴリズムを開発する.さらに,ウェブマイニングを(a)有用な情報源の発見,および(b)特徴的なパターンの発見,(c)情報抽出の3つの過程ととらえ,これらを有機的に結合して,半構造データを対象とした知識獲得システムの効率良い実現方式を明らかにすることを目標とする.また,計算量理論と計算学習理論の最新成果を援用し,計算量に徹底的に配慮した高速なアルゴリズムの開発を目指すのも特色である. 平成14年度は,次の研究成果を得た. (a)「有用な情報源の発見」に関しては,従来より表現力の高いパターンである可変長変数パターン(VLDCパターン)に対する新しいテキスト索引構造を開発し,これを用いて,効率よい最適化マイニングアルゴリズムを開発した. (b)「特徴的なパターンの発見」に関しては,XML-MessagingとSOAPへの応用を目指して,昨年開発した半構造データマイニング手法FREQTを元に,高速な半構造データストリームマイニングSTREAMTを開発した.これは,非常に少なく資源を使いながらデータストリームを監視し、有用なパターンを逐次報告するアルゴリズムである.また,FREQTの最適化マイニングへの拡張と理論的性能解析を行い,この方式の最適性を示した. (c)「情報抽出」に関しては,XMLデータ処理の基本技術である符号語列上のパターン照合機械技術を開発し,XMLパターン検索への応用を考察した.
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