IRF-2を欠損するマウスにおいては、生後数ヶ月までに、ポリクローナルなCD4^+およびCD8^+メモリー型T細胞(それぞれCD62L^<high>およびCD44^<high>Ly-6C^+)が野生型マウスと比較して多量に蓄積することから、IRF-2はメモリーT細胞のホメオスタシスを制御していると考えられた。IRF-2欠損脾細胞やリンパ節細胞をIRF-2xRAG-1二重欠損マウスへ移入したところ、野生型細胞を移入した場合に比してやはりメモリー型T細胞の割合が高かったことから、IRF-2はT細胞中で機能していることが示唆された。また、IRF-2欠損T細胞受容体トランスジェニック(P14tg)マウスを樹立したところ、野生型P14tgマウスではメモリー型CD8^+T細胞がほとんど見られないのに比して、IRF-2欠損P14tgマウスでは多量のメモリー型T細胞が見られた。従って、IRF-2欠損マウスにおけるメモリー型T細胞の蓄積は、内因性もしくは環境抗原等による持続刺激の結果ではなく、T細胞にintrinsicな異常に起因するものと思われる。我々はこれまでにIRF-2はI型インターフェロン(IFN)シグナルを負に制御している事を明らかにしており、また一方で、IFNはメモリーCD8^+T細胞の増殖に関与していることが分かっているが、IRF-2xIFN受容体二重欠損マウスでもメモリーT細胞の蓄積が見られることから、IRF-2がメモリーT細胞のホメオスタシスを制御する機構は、IFNシグナルの制御機構とは異なる、これまでに知られていない新規のものであることが分かった。
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