研究課題/領域番号 |
14021015
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 一彦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80191394)
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研究分担者 |
駒形 嘉紀 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (60281995)
川畑 仁人 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (70334406)
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キーワード | HIV / T細胞クローン / T細胞レセプター / レトロウイルス / 遺伝子治療 |
研究概要 |
HIV感染者においてはHIV特異的細胞傷害性T細胞(CTL)は存在はしているが、CD3ζ鎖のdown modulationとT細胞機能不全などの要因でHIV産生のコントロールが出来ない。また治療によりHIVのViral loadが減少すると、CTLの頻度が極端に低下し、生体がHIVを完全に排除出来ない。すなわち、このような状態でのワクチン療法には限界があることが想定され、これを回避する方法の検討は重要である。 そこで本研究は、HIVウイルスに対する生体内の免疫応答をリアルタイムでとらえ、そのT細胞レセプターの遺伝子情報を獲得し、効率良くリンパ球に遺伝子導入する技術を中心とした、ウイルス特異的T細胞再構築システムの確立を目的とした。本研究は、従来の方法論とは異なった新たな基盤技術を提供するものであり、疲弊または機能不全に陥っているウイルス特異的T細胞ではない自己のリンパ球を利用することが可能である。 キラーT細胞が認識するエピトープとして同定したペプチドP18IIIB抗原をパルスした樹状細胞をマウスに静注免疫すると、3〜4週以降比較的長期にわたり特異的キラーT細胞が誘導された。そこで免疫したマウスの脾臓細胞を試験管内で再刺激した細胞より単一細胞分離法にて単離した。分離した単一細胞より3段階のRT-PCRにてT細胞レセプターのα、β鎖を増幅した。さらにこのT細胞レセプターをマウス脾臓細胞に遺伝子導入した。遺伝子導入したT細胞レセプターが脾臓細胞上で約20%α、β鎖ともに発現していることを確認した後、細胞傷害試験を行ったところ高い細胞傷害活性を認めた。さらにこのようにして樹立した細胞傷害性T細胞の生体内での働きを調べる為、CFSEラベルした脾細胞を用いたin vivo細胞傷害試験を行い、実際に生体内でエピトープ特異的細胞傷害活性があることを確かめた。さらにCD4陽性リンパ球にHIVゲノムを遺伝子導入した偽似感染細胞を作成し、これを減少させる効果を検討中である。
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