研究課題
非病原性SHIVよりnefを欠損させたSHIVdnを経鼻粘膜接種により免疫したサルが、強病原性SHIVの経膣粘膜攻撃に対して、経静脈接種免疫ザルよりも強い感染防御を示したことを先に報告した(榎瀬他,Virol.,2002)。このことはSHIVdnが経粘膜感染に対する弱毒生ワクチンのベースとして使える可能性があることを示している。今年度はその安全性を高めるために、SHIVdnをベースとして、非感染性粒子を産生する変異導入フルゲノムプラスミドDNAを作成して、そのDNAワクチンとしての免疫誘導能と感染防御効果とをサルを用いて検討した。まずヌクレオキャプシドのZnフィンガーモチーフに変異を導入することにより非感染性ウイルス粒子を産生するフルゲノムプラスミドとして(1)pNL-432・ZF-1*(HIV-1)(2)pSHIV3rN・ZH-1*(3)pSHIV(dn)IL-2・ZF-1*を作成した。それらをサルに免疫し、誘導された液性免疫と細胞性免疫を測定し、高病原性もしくは非病原性SHIVの経腸管粘膜もしくは経静脈攻撃に対する防御効果を検討した。その結果、いずれのプラスミドDNAもウイルス特異的リンパ球増殖反応等の免疫誘導がみられ、強毒/弱毒SHIVの経直腸や静脈内攻撃に対して、抗ウイルス抑制効果とCD4陽性細胞の減少抑制効果が認められた。しかしながら弱毒生ウイルス免疫でみられた強い防御効果は認められなかった。しかし本実験は全てDNA単独投与であったことから、今後、ブースターの併用により、より強い免疫誘導能と防御効果が期待できる。また今後座薬等の投与法やより強いプロモーターを用いること等も併せて検討していきたい。
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