研究課題/領域番号 |
14021055
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
本田 武司 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (60029808)
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研究分担者 |
児玉 年央 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (20346133)
飯田 哲也 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (90221746)
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キーワード | 腸炎ビブリオ / プロビデンシア / 腸管出血性大腸菌 / ゲノム / 3型分泌装置 |
研究概要 |
細菌性瘍管感染症の発症機構の相違点、共通点を探るため、次の3種類の腸管感染原因菌の発症機構を比較解析した。(1)腸管出血性大腸菌の標的細胞への付着・定着に関わるTir-Intimin以外の新奇な因子の存在を示唆する成績を得るとともに、3型分泌装置を介して分泌されるエフェクター分子のうち、LEE上にあるエフェクターと同じく3型分泌装置により分泌されるが既知のPathogenicity IslandであるLEE以外の領域にある遺伝子にコードされる新奇なエフェクター分子を2種類見出した。現在その生物活性を検索中。(2) 腸炎ビブリオの全ゲノムの解析を終え、本菌が2つの環状染色体を有することを確認すると共に、この2つの染色体上にそれぞれ1個の3型分泌装置を有していることを明らかにした。また、この2つの3型分泌装置の欠失変異体を作成し、別々に機能していることを明らかにした。(3)ヒト病原性Providencia alcalifaciensは約150kbpの大きなプラスミドを有し、この上に3型分泌装置をコードする遺伝子群を見出し、これがサルモネラの細胞侵入性に関わる遺伝子群(SPI-1)に近い(類似する)ことが明かになった。このように本研究で取り上げた3菌種は、研究開始時にはそれぞれ異なった発症機序を有すると考えたが、以上の研究で3型分泌装置を共通して有することが明らかになり、細菌性腸管感染症の病態の理解に新展開が期待できる。
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