研究課題
特定領域研究
腸管感染症の対策は発展途上国を中心に緊要な課題である。我々は互いに発症機序に特徴のある下記の3菌種を細菌性腸管感染症のモデルとして取り上げ、その発症に関わる初期(付着・侵入)因子を同定解析した。(1)病原性大腸菌について:3型分泌装置(TTSS)を介して標的細胞へ注入されるTirに結口する標的細胞側因子として、CortactinとTalin分子を同定し、これらの分子がEPECやEHECによるA旭病変形成の初期過程に重要な役割を演じていることを明らかにした。また3型分泌装置のニードル先端部を構成するEspBの生体側の結合分子としてαCateninを見出した。(2)腸炎ビブリオについて:腸炎ビブリオの主要な病原因子はTDHlTRHであるが、それ以の補助的因子の存在も否定できない。腸炎ビブリオの全ゲノム解析の結果から腸炎ビブリオは2セットの3型分泌装置を持ち、TTSS-1は大染色体上にあり、細胞毒性に関与しているのに対し、TSS-2は臨床由来株にのみ見られ、腸管毒性に関与するPathogenicity Islandを形成していることを明らかにした。(3)Provideneia alcalifaciens(PA菌)について:PA菌による集団食中毒をはじめて見出した。またPA菌の病原性発現機構として、大型Plasmid上に3型分泌装置をコrドする遺伝子群を見出した。異なるメカニズムで下痢を引き起こすと当初考えていた上記3菌種が共通の病原性発現機(TTSS)を有していることが判明した。これまでの病原因子の研究対象であった外毒素に代わり、当面TTSS、あるいはそのエフェクターに関する研究が注目されていくことになると思われる。
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