研究課題
マラリアの惨状はますます深刻化しており、これを看過することはできない。製薬企業は発展途上国が必要とする医薬品の開発を取り上げない特殊事情から、大学が先導して抗マラリア薬の臨床開発研究を行う必要がある。本研究は新しい抗マラリア薬のリード化合物の決定・最適化を行い、コンピュータドラッグデザイン、及びゲノム創薬を駆使して新規抗マラリア薬を開発し、マラリアの流行地に供給する事を最終目的とする。また、本研究は薬剤耐性マラリアの耐性機構の解明とそれに基づく分子設計により、薬剤耐性を克服できる抗マラリア薬の創製と寄生原虫感染症学の分子基盤を確立しマラニア制圧に寄与するものである。平成17年度の研究成果を下記に示す。(1)今年度は1,2,4,5-テトラキオキサシクロアルカン類化合物(化合物N-89)のザルに対する抗マラリア活性、及び一般毒性評価を行うための大量合成を行い、計150gを合成した。また、GMP規格に合うように溶媒の検討、及び合成ステップの改良を行い、反応ステップを短縮することができた。(2)N-89のラットを用いた一般毒性試験で2000mg/kgの投与でも毒性は見られず、極めて毒性の低い化合物であることが分かった。(3)N-89の静脈・経口投与による血中濃度解析の結果、薬剤投与後5時間以上にわたり、1×10^<-7>M以上の血中濃度を維持した。また、N-89投与時の薬物動態のパラメーター解析の結果、N-89は半減期が短く、血漿中からすばやく消失した。また、比較として用いたArtesunateより、静脈内投与で血中半減期とMRTが延長していることから、N-89は組織分布後、徐々にその効果を発揮すると考えられる。さらに、N-89のBAは58.6%と他の抗マラリア薬の値と比較しても良好な結果を示し、既存抗マラリア薬を越える新規抗マラリア薬として期待が高まる。
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