研究課題/領域番号 |
14021081
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
浅野 喜博 愛媛大学, 医学部, 教授 (70114353)
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研究分担者 |
角田 恒輔 愛媛大学, 医学部, 助手 (20281454)
加納 誠 愛媛大学, 医学部, 講師 (10116923)
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キーワード | リステリア菌 / 自然免疫 / 獲得免疫 / T細胞サブセット / 宿主免疫応答 / サイトカイン |
研究概要 |
細胞内寄生性細菌(特にリステリア菌)の感染が自然免疫系の活性化に伴いどのような機序で獲得免疫系への影響を及ぼすかを、T細胞サブセットのシフトに焦点を絞って解析した。その結果、(1)病原体の感染に伴い、タイプ1T細胞へのシフトが認められ、このシフトは、生菌の感染に伴い誘導され、加熱死菌では誘導されない。この感染に伴うT細胞サブセットの偏りは2段階の機序に分けられる。第1のステップでは、感染病原体によりAPCが活性化され、抗原非特異的IL-12非依存性にT-bet遺伝子発現の増強と、GATA3遺伝子発現の抑制が認められ、タイプ1・タイプ2T細胞の前駆細胞へのシフトを生じる。この前駆細胞が、第2のステップで、特異的抗原刺激とタイプ1あるいはタイプ2誘導サイトカインの存在下に、タイプ1・タイプ2T細胞へと分化する。(2)このようなシフトを引き起こす病原体側の責任遺伝子を、種々の病原性因子を各変異リステリア菌や、トランスポゾン導入により作成したパネルを用いて解析した。その結果、リステリアの病原遺伝子群とは異なる遺伝子が関わっていることが示唆された。(3)リステリア菌はマウスには経口感染しない。腸管上皮細胞への感染に使われるインターナリン遺伝子を改変しマウスに経口感染可能な変異株の作成を行った。この菌を用いて、マウスでの経口感染モデルを作成する予定である。 病原体感染に伴うT細胞のシフトは、APC細胞の機能の変化による。したがって、APCへの遺伝子導入により人為的に、T細胞サブセットの偏りを制御することが可能と考えられる。そこで、リステリア菌を用いた遺伝子導入法の開発を継続して行っている。温度感受性プラスミドおよびHomologous recombinationを利用していくつかの自己融解性変異株を作製し、この変異株にリステリア菌と動物細胞内で発現可能なシャトルベクターに組み込んだ遺伝子を導入して、基礎的な解析を進めている。この結果以下の知見を得ている。(1)遺伝子操作リステリア菌を感染させることにより、培養細胞に遺伝子を導入し発現させることが可能であり、リステリア菌が細胞内への遺伝子導入のベクターとして有効である。(2)この系を用いて、in vivoでの宿主免疫応答の制御を試み、L.major感染に対する感染感受性マウスに感染抵抗性を賦与することが可能であることを明らかにした。現在、より効率のよいベクター、投与法を検討している。
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