1.DNA免疫法を用いた特異抗血清の作成 Pvs47及びPvs48の遺伝子をクローン化した哺乳類細胞発現用プラスミドをマウス、及びラットに注射してDNA免疫を行い、Pvs47及びPvs48の立体構造を認識する抗体を誘導することを試みた。その結果、これらの抗血清と三日熱マラリア原虫生殖母体を抗原に用いたWestern blot法及び間接蛍光抗体法により、Pvs48及びPvs47がいずれも約50kDaの蛋白として生殖母体表面に特異的に発現していることが確認された。またこれらの抗血清は、非還元条件下ではより強く原虫蛋白を認識し、明らかに移動度の異なる二種の蛋白をそれぞれ認識していた。以上の結果より、DNA免疫法を用いることにより、システインに富むPvs48及びPvs47のいずれの立体構造も認識できる特異抗体が作成できることが判明した。またこれらの結果は、1993年から現在まで、いかなる組換え蛋白を用いても特異抗体を作成できなかった熱帯熱マラリア原虫伝搬阻止ワクチン候補抗原Pfs48の研究にも応用しうる有用な知見と考えられた。 2.Pvs47及びPvs48の遺伝子多型の解析 タイ、バヌアツ、コロンビアのマラリア流行地において得られた三日熱マラリア原虫感染患者血液からDNAを抽出した。それらからPCR法を用いてPvs47及びPvs48遺伝子の全長を増幅し、遺伝子多型の解析を行った。その結果、23分離株の解析から、Pvs47では3カ所の同義置換、15カ所の非同義置換が認められ、非同義置換は前半部の6Cys-2Cysの部分に集中していた。Pvs48では4カ所の同義置換、7カ所の非同義置換が認められ、非同義置換はC末端に近い6Cysの部分に比較的多数認められた。また、Pfs48で報告されているのと同様、多型に地域的偏りが認められた。今後、これらの多型がワクチンとしての免疫原性に及ぼす影響について検討することも、重要な研究課題と考えられる。
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