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2002 年度 実績報告書

HIV-1コレセプターの特殊構造に対する立体特異的自己抗体誘導によるエイズ制御

研究課題

研究課題/領域番号 14021100
研究機関熊本大学

研究代表者

庄司 省三  熊本大学, 薬学部, 教授 (60040317)

研究分担者 高宗 暢暁  熊本大学, 薬学部, 助手 (60322749)
三隅 将吾  熊本大学, 薬学部, 助教授 (40264311)
キーワードHIV-1 / コレセプター / CCR5 / CXCR4 / ワクチン / 自己抗体 / ペプチド
研究概要

エイズワクチンの開発において、従来のワクチンの基本概念に基づくワクチンの開発が、必ずも成功に至っていない。エイズワクチン開発の困難さが改めて再認識されている。申請者等は本来のワクチンの基本概念から逸脱し、HIV-1ウイルスを中和するワクチンではなく、HIV-1の侵入を防止し生体の守りを固める手段を自己抗体に求めHIV-1コレセプター(CXCR4,CCR5)に注目した。このレセプターの全一次構造から立体構造を推定し、第2細胞外ループ(ECL-2)の細胞外第1残基から11残基目のシステイン残基は第1細胞外ループのCys残基とジスルフィド結合を介して小ループ(undecapeptidyl arch, UPA)を形成していることに着目した。このUPAのCys残基を除き、Gly-Aspのスペーサーアームジペプチドを挿入して各々を環状にした。このジペプチドのGly残基により、本環状に自由度を持たせ、ASP残基のβ-カルボキシル基を介してキャリアー担体に結合させ、コレセプターの固有のUPA構造をミミックした。また、両UPA由来のアミノ酸配列SQKEG (CCR5)5残基にEADDR(CXCR4)5残基を結合させ、SerとArgの間に、Gly-ASPのスペーサーアームジペプチドを挿入して、CCR5およびCXCR4由来の環状キメラUPA抗原を作製した。マウスを用いて、これら3種の抗原に対する単クローン抗体を別々に作出し、これらはそれぞれ、in vitroで、抗CCR5環状UPL抗体はHIV-1 R5の、抗CXCR4環状UPL抗体はX4の、抗CCR5/CXCR4環状キメラUPL抗体はR5,X4,X4/R5ウイルスの感染をほぼ完全に阻止した。さらに、よりヒトに近縁な霊長類であり、AIDSの動物モデルとして用いられるカニクイサルにおけるcDDR5-MAPの抗体誘導活性を検討した。その結果、カニクイサルにおいてもcDR5-MAP抗原はCCR5のUPAを認識する特殊抗体を誘導することが認められ、免疫カニクイサル血清中のIg fractionが、HIV-1R5ウイルスに対し感染防止効果を示すことが明らかになった。cDDR5-MAP抗原は、HIV-1の感染を防止するワクチンとして有用であると考えられる。本環状ペプチドはHIV-1初感染防止ワクチン、また、改変されるヒト型抗体はエイズ患者の進行に応じたオーダメイドの抗体として期待され、本研究は従来の治療薬・ワクチンの概念・考えを超越したHIV-1研究のブレイクスルーとなりうる。上記研究成果の一部はJ.Virol.75:11614(2001)に掲載され、高い評価を受けている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Shogo Misumi, Shozo Shoji, et al.: "Three isoforms of cyclophilin A associated with human immunodeficiency virus type 1 were found by proteomics using two-dimensional gel electrophoresis and matrix-assisted laser desorption/ionization-time-of-flight mass spectrometry"J.Virol.. 76. 10000-10008 (2002)

  • [文献書誌] Nobutoki Takamune, Shozo Shoji, et al.: "Novel strategy for anti-HIV-1 action : selective cytotoxic effect of N-myristoyltransferase inhibitor on HIV-1-infected cells"FEBS Lett.. 527. 138-142 (2002)

  • [文献書誌] Shogo Misumi, Shozo Shoji, et al.: "Acid-labile formylation of amino terminal proline of human immunodeficiency virus type 1 p24gag was found by proteomics using two-dimensional gel electrophoresis and matrix-assisted laser desorption/ionization-time-of flight mass spectrometry"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 293. 1107-1113 (2002)

  • [文献書誌] Nobutoki Takamune, Shozo Shoji, et al.: "Development of enzyme-linked immunosorbent assay for measurement of activity of myristoyl Coenzyme A : protein N-myristoyltransferase"Anal.Biochem.. 309. 137-142 (2002)

  • [文献書誌] 庄司省三, 三隅将吾: "HIV-1粒子のプロテオーム解析"日本臨床. 60. 636-640 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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