本研究は、中学校の技術科における「情報とコンピュータ」のカリキュラムを、生産技術のうちの情報通信ネットワークをコアとして、「制御技術から情報通信ネットワークへ」の系と「通信技術から情報通信ネットワークへ」の系のふたつから編成し、高度情報化時代の「ものづくり」の世界のすばらしさとおもしろさを、すべての中学生にリアリティーをもって豊かに分かち伝えるための研究の一部である。具体的には本研究では、このうちの「通信技術から情報通信ネットワークへ」の系に焦点を合わせて、この系の典型的なカリキュラムと教材を先駆的に開発し、教育実践による検証を通して、これらの技術教育上の意義を実証的に明らかにすることを目的とした。 本研究による主要な成果のひとつは、「通信技術から情報通信ネットワークへ」の系のカリキュラムを、基本的に次の11単元から構成したことである。すなわち、(1)スピーカで電話しよう/(2)スピーカで発電しよう!!/(3)コンピュータで電気信号を観察しよう/(4)仕組みは簡単「手作りスピーカを鳴らそう」/(5)なるほどなっとくスピーカの原理/(6)ひそひそ話も大声に「アンプで増幅」/(7)体験!光通信/(8)電話のつながる仕組みを考えよう/(9)コンピュータネットワークに挑戦/(10)コンピュータの登録番号を探そう/(11)インターネットはいい加減!?、の11単元である。 また本研究では、2002年度から長野県や東京都などの一部の中学校においてこのカリキュラム案にそくした実践を開始した。上の11単元全体の授業時数を14時間前後にまとめることができたなど、本研究により開発したカリキュラムと教材が、普通教育としての情報技術教育の見地からみて、妥当性と有効性をもつことを一定程度明らかとした。
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