本研究は、次期学習指導要領改訂における、教科の再編・統合を含んだ改革をにらみながら、その有力な選択肢の一つとして理科と技術科を連携させた新教科「科学・技術科」の可能性を探ることが最大の目的である。 文部科学省指定の研究開発学校である東京大学教育学部附属中等教育学校で研究している新教科「科学・技術科」所属教諭5名などを協力者として、そのさまざまな実践を元にして、エネルギー分野のカリキュラム開発を行った。 この「科学・技術」は、科学(理科)と技術科にわかれた授業実践を経た第1段階(中学校+α)と、科学(理科)を残しながらも、融合型「共通カリキュラム」を実施する第2段階に分かれている。「共通カリキュラム」には、高校の総合的な学習の時間を充てることも可能だろう。科学と技術は何れも自然を対象としているが、科学は自然の法則性を解明し、技術は科学法則を用いて自然を改変し利用する。両者の関連は深いが異なる人間の行為である。そのため、それらを完全一体化して融合した教科と捉えることは、それぞれの発展にとってプラスではないと考えている。その具体的な内容にもよるのだが、理科教育の中に添え物のように技術が入ってしまうのではないかと危惧している。技術教育がもつ独自性を考えて、「科学・技術」と「・(ポツ)」を加えて名づけた所以である。 理科教育の側からの「技術」領域の取り入れは、研究代表者が執筆代表の『新しい科学の教科書』3巻(文一総合出版)で具体化した。
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