研究課題/領域番号 |
14023107
|
研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
大網 功 東洋大学, 工学部, 助教授 (20058069)
|
研究分担者 |
西田 雅嗣 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (80198473)
黒須 茂 小山工業高等専門学校, 教授 (40042519)
|
キーワード | 軽量機器発展史 / 計測器開発史 / 度量衝史 / 内田五観所蔵の尺度 / 明治初期の基準尺 / 伊能忠敬使用の尺度 / 単位変遷史 / メートル法普及史 |
研究概要 |
1、研究の目的:近代日本の計量関係実物資料の調査を行い、これらの実物資料を実測することから文献上の記載との間に脈絡を付ける。そして尺貫法からメートル法に至る経緯を探る。 2、研究経過:8月に科学博物館新宿分館に三次元測定器(30cmまで0.5μmの細かさで測定可能)を搬入・設置した。秋に科学博物館保管の大蔵省度量衡改正掛(明治3年)蒐集の古尺群を測定し、暮に伊能忠敬記念館から借用した忠敬使用の尺度2本を慎重に測定した。11月〜15年2月 四日市秤乃館、駿府はかり資料館および九州地方9つの博物館を調査し、多数の古尺、古枡を点検、重要な実物を借用し、現在測定中である。三次元測定器の調整に万全を期し、古尺を精密かつ慎重に測定したため、古枡測定は予備段階に留まった。1月 メートル法についてフランスへ調査に行った。 3、古尺の測定結果:明治初期の基準尺として代表される、内田五観所蔵の享保尺(吉明)、木匠尺(規行)、又四郎尺(規周)、折衷尺(規行)および伊能尺2本の20℃での実測結果。伊能尺では、無銘尺:303.40mm、田中製尺:303.33mmの値を得た。伊能尺は1909年に測定されており、それと較べて田中製尺はやや違った値を示した。無銘尺は基準線から目盛られているが、田中製尺は端面から目盛られ、かつ端面のエッジはすり減っていた。今回の測定では田中製尺は端面から目盛ってある最初の1寸を除き、9寸の全長を測定し、1尺の長さを割り出した。内田五観所蔵の享保尺:303.68mm、木匠尺:302.44mm、又四郎尺:302.61mm、折衷尺:303.11mmと、納得できる値を得た。内田によれば、伊能忠敬は全国測量に際し、享保尺と又四郎尺とを折衷して折衷尺を作り、測量の基準尺として用いたという。しかし、実測によれば、伊能尺は折衷尺からずれた値を示している。これだけから伊能尺が折衷尺でないと判定できない。他の角度からの調査も必要と考える。
|