研究課題
(1)和時計の技術的特徴についての研究このテーマについては、平成14年度に引き続き自動割駒式の和時計の分解調査を行った。三重県松阪市近郊の射沢町の竹川家に所蔵されていた和時計は、自動の割駒式になっているが、それはそれまで知られていた手動の割駒式の時計にはないメカニズムを備えるもので大変興味深いものである。研究協力者の土屋栄夫氏によって当和時計を分解調査することにより、内部の機構が判明した。このような自動割駒式の和時計については、竹川家に所蔵される和時計が唯一のものではない可能性があり、他の自動割駒式和時計の所在状況について調査中である。また全国における和時計の所在状況について、全国の博物館や資料館における和時計の所蔵の有無、また所蔵している場合に和時計の数量、種類、構造についてアンケートを実施し、所在状況について調査を進めている最中である。(2)時計の社会的意義に関する研究自動割駒式和時計を所有していた竹川竹斎の日記には、時刻の記入が頻繁になされているが、そこには不定時法と定時法が混用されている。記入に際しての両者の使い分けについて現在検討中である。戦後における一般の人々の時間意識をさぐるために、戦後の大衆漫画を取り上げてそこに表現される時間意識について検討することがなされた。特に連載漫画の中で時間をテーマにするものを抽出することにより、1950年代後半から1960年代にかけて社会のスピード化と時間に対する考え方の変容が起こっていることが示された。また、時間地理学の観点から、中国と日本の都市住民の時間意識の調査についても検討された。平日(月曜)の時刻別外出率は、日本では都市による違いはほとんどみられず、その代わりに男女による差が顕著なのに対して、中国では男女間に大きな相違は見られず、その代わりに都市による違いが大きく見られることなどが見いだされた。
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