研究課題/領域番号 |
14023210
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
冨井 洋一 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (90026245)
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研究分担者 |
岩崎 恭輔 京都学園大学, 経営学部, 教授 (90241158)
久保田 諄 大阪経済大学, 教養部・経営情報学科, 教授 (30066815)
冨田 良雄 京都大学, 理学研究科, 助手 (30217541)
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キーワード | 國友一貫斎 / 反射望遠鏡 / 顕微鏡 / 魔境 / 微量元素分析 / 微小変位 / 青銅 / ガラス |
研究概要 |
(1)近世日本および欧州の望遠鏡、顕微鏡等光学機器の特定調査とデータベースの構築 國友一貫斎製作の「反射型望遠鏡」、和田医学コレクションの「顕微鏡」、福井県立博物館を含む「堆朱カメラ」、京都大学博物館の「魔鏡」等の近世光学機器の構造、形状測定、性能評価等の科学的解明の系統的調査を行った。その他、日本および世界各地に存在する近世に製作され我が国に影響を与えた光学機器として、科学博物館、トヨタコレクション(東京)、ボーエハーヴ博物館、テイラー博物館、ライデン大学およびユトレヒト大学博物館(オランダ)、サイエンスミュージアム(ロンドン)の屈折および反射望遠鏡、顕微鏡、反射鏡の所在確認調査を行い、データベース構築の作業を進めている。 計測とデータ処理のために、レーザフォーカス変位計、カード型データ収集システム、ディジタルビデオカメラ、ディジタルカメラ及び画像処理用コンピュータが購入・設置され、現在調整稼働中である。透過および反射の光学理論に基づく精密測定は、次年度設置予定の高精度透過・反射型分光光度計による予定である。 (2)機器部品の材料再生と製作技術の調査研究 望遠鏡の反射鏡や日本鏡、梵鐘の基礎合金である青銅(Cu-Sn合金)が、当時の製造方法を考慮した近代工業的手法で18種および屈折率の大きく異なる3種の光学ガラスが製作され、文化財器物の保存・修復・再生のために、その性質が科学的に調査中である。現有設備である金属、セラミックスの極微量機器による分析(SEM、TEM、EPMA、XRD、ICP、IMA、ESCA、Auger、Plasma Mass等)を用いているが、本年度末より、文化財器物の材料分析を念頭に置いた、極微量試料および極微量不純物分析として、「放射光分析」が佐賀大学との共同研究として起ち上げられる予定である。 (3)近世日本の光学機器による観測資料および製作資料の文献学的調査、解明 国友家文書を中心にして、一貫齋文書の現代工業的解説の出版を目指した「解題」作業を行っている。ライデン大学ユトレヒト大学所蔵の観測資料、顕微鏡はボーエハーヴ博物館の観察記録、望遠鏡および顕微鏡の製作資料関係は彦根城博物館およびオランダの両大学と博物館資料の付き合わせ等行い、総合的な研究成果の出版を目指す。 (4)以上本年度得られた成果は、箇々には、本研究が主催する小研究集会や文化財保存修復学会で発表・投稿すると共に、本年11月8〜10日に長浜市にて国際シンポジウムを開催し、国際的な評価を行うと同時に広く市民一般に公開する。
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