研究課題/領域番号 |
14023210
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
人文・社会系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
冨井 洋一 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (90026245)
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研究分担者 |
冨田 良雄 京都大学, 理学研究科, 助手 (30217541)
梅辻 諄 大阪経済大学, 教養部・経営情報学部, 教授 (30066815)
岩崎 恭輔 京都学園大学, 経営学部, 教授 (90241158)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2005
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キーワード | 國友一貫斎 / 気砲 / モノづくり / 魔鏡 / 不定時法 / 田中久重 / 萬年自鳴鐘 |
研究概要 |
信州プロジェクトでは、「江戸時代信州の科学・技術」というシンポジウムで、「江戸のモノづくり」の底流に流れる目的である地域連携の実を上げた。すなわちこの地域連携では、地域の研究者、博物館、高校生、教育委員会等との共同討議のもとに多くの研究者達と直接に交流し調査研究の進展を計つた。詳細は発行される図録兼論文集を参照されたい。注目すべきことは、この地より程遠い近江の「一貫齋」の影響が信州にも及んでいたことを実証したこと、その原因は信州を東海道に対する間道地域として捉えるのではなく、モノづくりの観点から見れば日本の中心であったということである。 総括班と科博の指揮のもとに遂行された「萬年自鳴鐘」の復元にも本研究グループは大きな寄与をなした。この注目すべき大形時計の外装部は、現在では伝統工芸と名指される工芸美術がふんだんに使われている。復元に当たってはそのために、科学的分析手法が駆使され、伝統工芸に新たないぶきを与えた。光挙顕微鏡や走査型電子顕微鏡およびX線CTは透かし彫り金工の技法や螺細技法の解明を可能とし、伝統工芸における古典的手法の復活に示唆を与えた。七宝工芸や漆工におけるX線透過写真撮影による非破壊での内部構造の明確化は当時の職人の技法を余すことなく明らかにした。金属材料組成やメッキの手法、七宝釉薬組成の分析では蛍光X線元素分析や微小部X線元素分析が新しい知見をもたらした。すなわち本研究分野A04と本研究A04-20における蓄積された文化財器物への科学的分析手法の実証がなされた。これらの分析手法の中で特に新しく試みられ多大の成果のあった極微量試料による分析結果の有用性を示すデータを表1と図1に示す。これらのデータから、実験的には100μg程度でバルク材と同じような分析値を与えることが解る。ただしこのような極微量のサンプリングは特殊な工具による。 日常活動である小研究集会は本研究の開始以来六回を数えるに至った。得られた成果は研究成果公開促進費の援助による第8回国際シンポジウム「近世光学機器製作技術のDNAと現代ハイテクにおける我が国技術アイデンテイテイーの確立」の開催へと企画されている。
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