研究課題
特定領域研究
鉱山開発は日本の近代化と資本の蓄積を支えてきた重要な産業であり、江戸時代においても様々な技術を集結した総合技術であった。本研究では、国内の江戸時代の鉱山技術に関する器物資料および文献史料のリストアップとデータベース化を目的に研究を行ってきた。これまでに全国の博物館・大学・資料館約50ヶ所を訪れ、収蔵資料の調査を行った。また主要鉱山約30ヶ所で現地調査を行った。大学関連の文書史料に関しては九大、東大で調査を行った他、東北、近畿、中国、九州地方の大学の研究者の協力によりリスト化を進めた。この内、九州大学所蔵の鉱山・製錬関連の古文書・絵図等については、随時デジタル化を行い、Web上(http://database.museum.kyushu-u.ac.jp/kouzan/およびhttp://record.museum.kyushu-u.ac.jp/search/)に公開し、研究者に限らず一般の人々による画像の閲覧と目録の検索を可能にした。鉱山の現地調査は、金・銀・銅・鉛・錫等を対象とした奈良時代〜江戸時代末の主要鉱山について実施した。調査では当時の山師が採掘の対象とした鉱石の採取や採掘エリアを把握する事に重点を置いた。特に製錬跡を伴う場合は製錬澤や製錬炉の炉材を採取し、鉱石と併せて分析を行うことで、採掘対象の鉱石を推定し、当時の製錬技術の検証を行った。江戸時代の鉱山技術としては、鉱山における採鉱では、坑内掘りの技術が普及し、様々な坑内燈が用いられた。また、坑内採掘では湧水対策が必須であり、桶のほか樋の使用が一般化した。水抜き坑道は近世初期から掘られていたが、測量術の進歩と普及により、元禄以後には大規模な疎水坑道の掘削が行われるようになった。鉱石を処理する選鉱技術としては、鉱石の粉砕にリンズを用いた石臼が定型となった。また、ねこ流しによる比重選鉱が行われた。鉱石から金属を取出す製錬技術では、中世末に石見銀山へ導入された灰吹法が全国に普及し、大阪銅吹所では南蛮吹が導入され、各地の鉱山や製錬所への技術移転が進められた。平成17年度には、中世ヨーロッパの鉱山技術との対比のためスウェーデン・ドイツ・スロバキアにおいて現地調査を行った。今後は、日本の主要鉱山に関する器物・文献の現状や鉱石・製錬澤の分析値等を統合した総合データベースを構築することによって、多方面から幅広く鉱山技術を研究・検証できる環境を整えてゆく。
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