研究課題/領域番号 |
14023217
|
研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
降旗 芳彦 実践女子大学, 文学部・美学美術史学科, 助教授 (20238661)
|
研究分担者 |
田中 英機 実践女子大学, 文学部・美学美術史学科, 教授 (60330594)
|
キーワード | 歌舞伎 / 芝居小屋 / 照度(自然光採光) / 科(振り。特に見得) / 白(せりふ)術 / 衣裳(生地、刺繍) / 反射率 / 舞台機構 |
研究概要 |
平成15年度は前年度の常盤座(岐阜県福岡町)地芝居公演での検証『映像(DVD)・データ(CD)・論文』の報告(書)の後を受け次の調査を実施した。「科」;歌舞伎俳優中村又蔵の協力を得て九州大学大学院芸術工学院において"見得"のモーションキャプチャーを行った。これは歌舞伎の見得が不動尊の種字を演技化したものという仮説の検証のためである。このキャプチャーの映像化等纏めは九大で目下行っており、実証研究は16年度になる。「白」術;木造芝居小屋という環境下でやはり成立したとの見方であったが、14年度の予備的調査の結果有蓋式以前の無蓋露天客席時代に成立したものとの仮説に変わった。狂言師・歌舞伎俳優・新劇俳優に狂言・歌舞伎・新劇の三分野の台詞全体を己の分野の台詞術で言ってもらって波形・音圧を計測することとし15年度は歌舞伎を中村又蔵のそれを収録した。狂言・新劇は16年度に繰り延べる。「衣裳生地」;歌舞伎衣裳によく使われる生地と色彩の光学的物性即ち反射性能を調査し、低照度下における見え方を写真撮影した。生地は竜紋・精好・羽二重・縮緬・綸子・襦子・紬・木綿・ビロードの9種を黒・赤・紫・朱鷺・栗梅・柿・黄・卵・鰹(かつ)・萌黄・浅葱・白の12色に染め、300ルックス(明るい居間)を基準に200・100・90・80・70・60・50・45・40・35・30・25・20・15・10・5と照度を下げながら調査した。生地・色彩によって見え方の度合いが違うことや10ルックスが限度たることが確認された。「金欄の刺繍もの」も用意したが、時間的予算的事情で16年度に回る。「舞台機構」;凸版印刷による撮影の機会を捉え上三河農村歌舞伎舞台(兵庫県南光町)を調査した。天井に回舞台と迫下げ機構を持つユニークなものであるが、床の回舞台が片手で動くほどに負荷が小さい(数値化未了)。24輪の遊星滑車のためだが、幕末の工学力を物語るものである。凸版から映像提供を受けたが、分り易いようにCG化した。
|