研究概要 |
当該研究の目的・計画にもとづき、平成14年度においては、北里研究所・東洋医学総合研究所医史学研究部の管理下にある大塚修琴堂文庫・岡田昌春文書・多紀元堅文書の書籍・文書類の修復を行った。対象資料は冊子・巻物・一枚物・器物など、さまざまの形態をとるので明確な数字では表しがたいが、冊子では約200冊、点数では500点以上の修復作業を精力的に行い、予定をはるかに越える成果を挙げた。 大塚修琴堂本は量的に厖大かつ虫損も甚大なため、割合としては一部の修復にとどまったが、岡田文書・多紀文書についてはすべてにわたり裏打修復、保存帙の作成を完了した。又本年度11月に北里研究所に寄託された橋本龍雲旧蔵の古医書、約1,000冊も本研究計画の一環に加えることとし、その整理を終え、一部の修復作業も行った。 目録作成作業としては、大塚文庫・岡田文書・橋本文書の全目録を完成した。これに加え、本年度春に慶應義塾大学医学部図書館に寄贈された長谷川弥人旧蔵の古医書類、約200点についても出張整理作業を行い、目録を作成した。以上4種の文庫・文書の目録データは全てコンピューターに入力済みである。 岡田文書には書簡類など、印刷物以外の名家自筆の文書が多く含まれており、これについても鋭意解読・翻刻作業を進めており、その大半を終え、目下、コンピューターに入力作業中である。 以上の研究成果を発表するため、第104回日本医史学会(平成15年4月開催)において、同会員のうちの「江戸のモノづくり」研究参画者とはかり、シンポジウムを企画した。 上記の通り、本年度は研究の初年度であるが、研究計画は至って順調に進行し、予想を上回る実績を挙げることが出来た。
|