研究概要 |
平成16年度は、次の2件を対象として調査・分析作業を行った。 1 東京国立博物館所蔵「世界図(ブラウ作,フィッセル改訂)」2鋪 当資料における国立博物館内での本格的な活用に向け、科学的観察と分析に基づく修理計画の立案を目指して実施した。作業は、大型カメラによる詳細撮影(全光,側光,紫外線蛍光,赤外線反射),X線透過撮影,損傷地図の作成を行い、製作過程の解明や後年の修理内容の推定を試みた。また国内外における類似資料の訪問調査や海外専門家との共同調査からも多角的な知見と見解を得て、保存活用計画の策定に取り組んでいる。 2 長崎県南有馬町教育委員会所蔵「キリシタン遺物」14点 当資料は、長崎県南有馬町教育委員会が発掘調査を行った国指定史跡『原城跡』より出土したもので、「キリシタン遺物の科学的調査による比較研究」として同教育委員会より調査委託を受け、本研究との共同で実施した。作業は、X線透過撮影,蛍光X線分析調査について行い、平成15年度に実施した東京国立博物館所蔵のキリシタン遺物との比較検討を行い、相互の関連性を調査中である。 そのほかの活動として、文化財保存修復学会主催シンポジウム「文化財の保存と修復II」での講演,江戸のモノづくり第5回国際シンポジウムへの参加,海外研究者の招聘など、国内を中心に研究情報の収集と交換に努めた。 研究成果の公表については、文化財保存修復学会におけるポスター発表,著作物への執筆を行った。また、東京国立博物館内において「特集陳列大航海時代のキリシタン遺物」を開催し、重要文化財を含む54点を一般公開した。
|