安定同位体標識DNA光産物の調製に成功し、多次元NMR法によるNMRシグナル帰属が完了した。高度好熱菌由来のCPD photolyase(阪大・院理・倉光博士より大腸菌発現系が供与された)を題材として、紫外線損傷DNA (CPD)と修復酵素の相互作用を原子レベルで明らかにしている。CPD photolyaseの精製法については、従来法に改善を加え、活性体の効率的精製に成功した。光回復酵素との複合体におけるCPDのNMRシグナル帰属を進めるとともに、安定同位体標識法の確立を行った。DNA-酵素複合体のような高分子量複合体では、上記の解析で用いた^<13>C、^<15>N標識試料以外に、さらに^2H標識を施したCPDを調製する必要がある.この三重標識CPDと光回復酵素との複合体の多次元多核種NMR解析を行うことで、標識CPDのNMRシグナルの帰属を行い、NOEやスピン結合などのNMR構造情報をもとに複合体形成時におけるCPDのコンホメーションの決定を行った。さらに、変異体による解析や蛍光標識DNAなどを用いて構造情報を確認し、修復酵素による損傷部位の特異的認識メカニズムおよび反応機構を明らかにした。
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