研究課題/領域番号 |
14026018
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
鎌田 徹 信州大学, 医学部, 教授 (40056304)
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研究分担者 |
古田 秀一 信州大学, 医学部, 助手 (80126705)
谷口 俊一郎 信州大学, 医学部, 教授 (60117166)
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キーワード | Ras / Nox1 / 発癌遺伝子 / 活性酸素 / メタロプロテアーゼ / NADPH oxidase / MAPキナーゼ / 情報伝達 |
研究概要 |
我々の研究戦略は、ヒト癌の多段階プロモーションにおけるRas発癌遺伝子の役割を解明し、その研究結果を癌治療法の開発に役立てようとするところにある。Ras発癌遺伝子を媒介とした悪性腫瘍の形成については、今まで多くの研究がなされてきたが、その分子機構は必ずしも十分解明されたとはいえない。我々は、咋年度、Ras癌細胞のフェノタイプ(増殖、形態、悪性度)を媒介する新しい因子として、Ras-MAPKK-MAPK経路によってその発現が誘導される活性酸素産生遺伝子Nox1(Mox1は新命名法によりNox1と改められる)の産生する活性酸素が、必須であることを発見した(論文出版中)。この結果から、正常な細胞機能の情報伝達分子として働くNox1が、異常調節をうけるとRas発癌に寄与するという重要な概念が提示された。本研究では、1)Ras-Nox1を介した癌化の情報伝達の下流標的を解明すること、2)ヒト癌組職におけるNox1の発現異常を検索すること、3)Rasに連動したNox1の転写調節機構を検討することを主眼とした。その結果、Nox1は、Ras発癌遺伝子による細胞の運動能の亢進と、MMP-9産生の増加を媒介していることが判明した。また、膵癌で、顕著なNox1の高発現が確認された。さらに、Ras-MARKシグナルによって、Nox1のプロモーター活性が増加することが確認された。これらの結果はRas癌細胞の転移・浸潤能を調節する因子としてNox1が重要な役割を果していることを意味し、さらに、Nox1が発癌過程の新しい律速因子であるという我々のin vitroモデルが、実際に、ある種のヒト癌レベルでもおこりうることを示唆する。今後、Nox1を難治性癌の治療ターゲットとしてとらえ、その調節機構、エフェクターの同定のさらなる解明を推進していきたい。
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