研究課題/領域番号 |
14026029
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
押村 光雄 国立大学法人鳥取大学, 医学系研究科, 教授 (20111619)
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研究分担者 |
久郷 裕之 国立大学法人鳥取大学, 医学系研究科, 助教授 (40225131)
加藤 基伸 国立大学法人鳥取大学, 医学系研究科, 寄附講座教員 (00273904)
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キーワード | がん / 刷り込み遺伝子 / DMR / エピジェネティクス / クロマチン / FISH / LIT1 / IGF |
研究概要 |
ヒト11p15.5領域は、Wilms腫瘍をはじめとする小児がんを多発するBWSの染色体転座点に位置し、この領域に存在するLIT1刷り込み遺伝子が高頻度に異常(LOI)が認められることより、LIT1はBWSの主要な責任座位の可能性が示唆された。BWS患者から樹立した7つの細胞株においてLIT1領域およびその近傍に存在する4種類のPAC probeを用いてFISH解析を行った結果、LIT1内にmicrodeletionをもつ2つの細胞株を同定した。これらの細胞株において、BWSの候補責任遺伝子の一つとして知られているp57^<KIP2>の発現を検索した結果、母親由来のアレルに欠失が認められる細胞では、p57^<KIP2>の発現低下が認められた。すなわち、発現の消失しているアレルの欠失にもかかわらず発現異常が検出された。一方、発現を呈する父親由来のアレルに欠失が認められた細胞では、p57^<KIP2>の発現が正常レベルであった。これらのことより、LIT1がp57^<KIP2>の発現調節因子というよりむしろその欠失領域にp57^<KIP2>の調節に関わる重要なエンハンサーのような機能配列が存在することが示唆された。 これまで父性発現を呈するLIT1は大腸がんにおいて高頻度にLOIが認められた。本研究においては、このLOIの原因を明らかにするためにLIT1プRモーター領域のCpGアイランドの存在するDMR(differential methylation region)領域およびヒストンH3-アセチル化(Ac)、H4-Ac、H3-K4メチル化の状態を解析した。その結果、LIT1のLOIとこれらのエピジェネティックな変化に明らかな相関が認められないことから、これはがんの個性の違いを裏付ける証拠の一つであると考えられる。一方、食道がんでは、LIT1-DMRのメチル化状態、ヒストンテール修飾とCDKN1Cの発現とに相関が認められたことにより、LIT1の発がん過程における重要な役割を担っている可能性が示唆された。
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