研究課題
特定領域研究
E6のトランスフォーミング活性には高リスク型HPVのみで保存されているC末のPDZドメイン結合モチーフが必須であり、PDZドメインを持つ標的蛋白質としてhDLGを報告して以来、hScrib, MUPP1,MAGIなどが報告されているが、新たな標的としてPSD95を同定した。PSD95の発現低下はHPV陽性の子宮頸がん細胞株で共通に見られたことから、子宮頸がんにおいてがん抑制遺伝子として機能している可能性が示唆された。CaSki細胞にPSD95を強制発現させると培養皿上での増殖能には変化がないが、軟寒天培地中での増殖、ヌードマウスにおける腫瘍原性は低下した。また、PSD95はE6/E6AP依存的なユビキチン化によるプロテオソームによる分解促進を受けていると推定された。E6は乳腺上皮細胞や皮膚角化細胞においてテロメラーゼを活性化することができるが、その機構は長い間不明であった。私たちは、転写抑制因子NFX-1がE6/E6AP複合体と結合することを見つけた。NFX-1遺伝子からは123kDa (NFXH23)と91kDa (NFX1-91)の蛋白質が作られるがNFX1-91がhTERTプロモーターの転写抑制因子として機能しており、E6/E6APにより特異的に分解促進することが明らカになった。すなわち、NFX1-91のE6/E6APによる分解促進がテロメラーゼ活性化機構の1つであることを明らかにした。E6,E7は子宮頸がんにおいてかなり特異的に高発現しているhWAPLの発現誘導を介して正常細胞に染色体不安定性を誘導している可能性を示した。hWAPLはハエで見つかったwing apart-like遺伝子のヒトホモログでありその遺伝子産物はヘテロクロマチンに結合し、その高発現は染色体異常をもたらす。
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