【目的】 小胞体から核や細胞質へ発信されるシグナルは、小胞体内で折り畳み異常を起こした蛋白質の蓄積("小胞体ストレス")が誘因となる。しかし、このシグナルへのBcl-2ファミリーの関与は不明である。本研究は、Bcl-xLの小胞体ストレスによるアポトーシスの制御機構の解明を目的にしている。 【研究実績】 1.小胞体に局在するBcl-xLの構築。 小胞体に局在するcytochrome b5とBcl-xLの膜貫通部を入れ替えた変異型Bcl-xLを構築した。さらに、内在性Bc1-xLと区別するため、C末端部にFlagを付加し、293T細胞に導入後、ウェスタンブロットおよび抗Flag抗体での染色にてキメラ蛋白質(変異型Bcl-xL)を確認した。 2.変異型Bcl-xLレトロウイルスの構築およびPC12細胞に感染による形質転換細胞の樹立。 変異型Bcl-xLをpBabe Puroレトロウイルスベクターにクローニング後、パッケージング細胞株(293GPG)にてウイルスを作成した。ウイルス(変異型Bcl-xLレトロウイルスおよびコントロールとしてpBabe Puroベクターレトロウイルス)をPCl2細胞に感染させ形質転換細胞を樹立した。 3.以上の細胞を使用し、各種刺激によるアポトーシスヘの影響、小胞体ストレス応答への関連を検討する。さらに、細胞内器官とアポトーシスおよび癌化との関連を明らかにするために、Bcl-xLの細胞内局在の変化による細胞増殖への影響、小胞体ストレス後の細胞形態変化、またミトコンドリアからのアポトーシスシグナルヘの影響を探りながら検討する。
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