研究概要 |
HeLa細胞において、ドミナントネガティブAurora-AをGFPとの融合タンパク質として過剰発現し、細胞分裂への影響を観察した。その結果、ドミナントネガティブAurora-Aの過剰発現によって中心体の数に異常がみられ、紡錘体が正常に形成されない細胞が多数観察された。また間期細胞では多核細胞が高頻度で観察された。この多核細胞は、異常な細胞分裂の結果形成されたと考えられた。HistoneH3のSer10のリン酸化は細胞分裂期の染色体凝縮において重要であると考えられているが、ヒトAurora-A,-B,-Cとこのリン酸化の関係について検討した。両者を大腸菌で発現させて、Aurora-A及びAurora-BがHistoneH3のSer10をin vitroでリン酸化することを示し、染色体凝縮に関与する可能性が示唆された。また、熊本大学との共同研究によって、cdc2,PP1との関連を検討した。CDC2-cyclin-BがPP1を阻害することによって、Aurora-Aの活性化を行うという結果を得ている。 Aurora-Bは、M期にRNAの蓄積、がん細胞における過剰発現がみられるが、その調節機構については明らかにされておらず、Aurora-Bの転写制御機構について解析した(浜松医大との共同研究)。PCR法によってAurora-B遺伝子の5'近傍領域をクローニングし、プライマーエクステンションによって転写開始点を決定した。また、ルシフェラーゼ法によって、転写活性を検討した。その結果、G1/S期と比較して、G2/M期では3倍程度の転写活性化がみられるが、CDE-CHR配列の変異によって、G1/S期の転写活性が、G2/M期程度まで上昇した。さらに、CDE-CHR配列へのE2F, DPの結合についても検討中である。
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