物理化学的ストレス(放射線、紫外線、抗ガン剤)やサイトカイン(TNFa、Fas ligand)は、JNK (c-Jun N-terminal kinase)やp38のSAPK (stress-activated protein kinase)カスケードにより活性化されるCRE (cAMP response element)結合因子CREB/ATFファミリーの一つATF-2のショウジョウバエホモローダdATF-2の機能を明らかにするため、胚にdATF-2のdsRNAをインジェクションしてdATF-2の機能を調べた。ショウジョウバエJNKは胚発生期のdorsal closure(背部閉塞)という現象にJunのリン酸化を介して機能している。dATF-2とdJunのRNAiを行って、dorsal closureの異常が観察されるかどうか調べたところ、dJunのRNAiはdorsal closure defectが見られたが、dATF-2の場合はdorsal closureに異常は認められなかった。物理化学的ストレスによってdATF-2が活性化されることをin vivoで明らかにするため、3令幼虫に0.1M NaClをインジェクションする方法でosmotic stressを与え、dATF-2のリン酸化がp38カスケードによって亢進するかどうかをWestern blottingにより調べた。NaClインジェクション後、幼虫のextractを抗MEKK及びp38リン酸化抗体でWestern blottingを行うと、MEKK、p38 kinaseのリン酸化が認められたことから、NaClによる幼虫のosmotic stressはp38カスケードを活性化していることが分かった。この時、dATF-2のリン酸化を示すシグナルも僅かながら亢進していることから、p38 kinaseの下流でdATF-2が機能していることが示唆された。
|