研究課題/領域番号 |
14030012
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
橋本 祐一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (90164798)
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研究分担者 |
小林 久芳 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (80225531)
遠藤 泰之 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (80126002)
長澤 和夫 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (10247223)
小磯 邦子 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (50092200)
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キーワード | アンドロゲンアンタゴニスト / シクロオキシゲナーゼ / 前立腺がん細胞 / 分子設計 / 耐性克服 / サリドマイド / 細胞浸潤阻害 |
研究概要 |
がん増悪因子の阻害薬の創製を目的に、近年、多発性骨髄腫や結腸がんなどに対する有効性から注目を浴びているサリドマイドを主たるリードとした構造展開研究を遂行した。特に、(1)主に前立腺がんの増悪因子であるステロイドホルモン、アンドロゲン、に対してアンタゴニスト活性を有するイソキサゾロン系化合物、(2)細胞浸潤阻害活性の標的酵素として提唱するピューロマイシン感受性アミノペプチダーゼ(PSA)に対して阻害活性を有するキナゾリンジオン系化合物、(3)主に大腸がんなどの増悪因子と目されているシクロオキシゲナーゼ(COX)に対する阻害剤、の創製研究を行った。 その結果、(1)既存のアンドロゲンアンタゴニストが全く無効である、点突然変異を生じた核内アンドロゲンレセプターを発現する、アンドロゲンアンタゴニストに耐性を獲得したヒト前立腺ガン細胞に対しても十分に有効な新規アンドロゲンアンタゴニストの創製に成功し、(2)PSAとガン細胞浸潤との関連をより明確に示すことに成功し、(3)様々なCOX-1/2選択性を有するフタルイミド型およびホモフタルイミド型COX阻害剤群の創製に成功してその構造活性相関に関する解答を得ることができた。 特に上記(1)の成果、すなわち、構造的にこれまでにない、核内アンドロゲンレセプターのヘリックス12の折り畳みを阻止するタイプの立体障害型イソキサゾロン型アンドロゲンアンタゴニストの創製は、これまでのアンドロゲンアンタゴニスト療法の限界、すなわちがん細胞のアンドロゲン非依存性・アンドロゲンアンタゴニスト耐性の獲得を克服し得るものと考えている。実験的には、核内アンドロゲンレセプターに臨床に見られる突然変異を生じてアンドロゲンアンタゴニスト耐性を獲得したヒト前立腺がん細胞株、LNCaPや22Rv1に対して、今回新規に創製したイソキサゾロン型アンドロゲンアンタゴニストが有効であることを示した。
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